野焼きの問題を理解してもらえるよう、問題の全てをまとめました。
地元議員に相談するときや、市役所や警察に抗議する際の資料としてお役立てください。
<目次>
1.野焼きと健康を考える会とは
2.野焼き被害について
3.法律は原則禁止です
4.その他の法律
5.温暖化防止対策
6.SDGs
7.野焼きの現状
8.雑草と作物残さの適正処理
9.役所の対応
10.政府に要望すること
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1.野焼きと健康を考える会とは
廃棄物の野焼きは法律で原則禁止されているはずですが、行政は「農業は認められている」、「軽微だから問題ない」、「お年寄りだから仕方ない」、「田舎だから仕方ない」と黙認し、被害者は泣き寝入りしています。
野焼きと健康を考える会は、日常的に雑草や農業廃棄物を野焼きされ、その煙害に苦しむ人たちの集まりです。
北海道から沖縄まで、全国から野焼きの被害の声が寄せられています。
2.野焼き被害について
野焼きの害はビニール類を燃やしたときに発生するダイオキシンだけではありません。
天然由来の草木の野焼きの煙であっても多くの有害化学物質が含まれています。
キャンプファイヤーで目や喉が痛くなったり、衣服や髪にニオイがついて気分が悪くなったことは誰にでもあると思いますが、それらは有害化学物質によるものです。
煙は喘息、アレルギー、化学物質過敏症などの原因になります。
具体的症状は、咳、喉痛、頭痛、吐き気、鼻炎、倦怠感などです。
喘息患者は呼吸困難になり救急搬送され入院が必要になる場合もあります。
最悪命を落とすことも。
化学物質過敏症患者はたったひと吸いで口や手がしびれ、ひどい倦怠感で一日動けなくなる場合もあります。
イライラ、鬱、パニック障害などの精神的な被害も生じます。
PM2.5による脳梗塞や心筋梗塞や肺癌などの将来的なリスクも生じます。
PM2.5は短期的な死亡率も高めます。
もちろん、臭くて辛い、洗濯ができない、窓を開けられないといった生活被害でも苦しんでいます。
2017-09-30
"息苦しくなり、頭痛と全⾝の痛みが出るなどの症状が出て、
動けなくなります。外出先は、煙草や柔軟剤など、原因物質で
いっぱいです。でも、逃げられます。避けられます。野焼き
の煙は逃げようのない、家の中に⼊ってきます。家では安⼼し
て過ごしたいです。お願いします。"
2017-10-07
"今もどこかで燃やしていて息苦しい。燃やしている⼈は何と
もないんだろうか?頭痛、息苦しさを燃やした⼈も感じます
ように。市役所に相談会したら、世代交代するまで待つしか
ないと⾔われた!そうだったら、あと何年間待たなくてはな
らない?警察に相談したら、燃やす⼈の気持ちも考えなきゃ
ね、と⾔われた!本当⾟い。⾟すぎる。。。"
2017-10-09
"秋は毎⽇どこかで燃やしているため、毎⽇頭痛がしている。
昨⽇は、野焼きのない場所へ出かけていたため久しぶりに頭
痛薬を飲まずに済んだ。野焼きがなかったら、頭痛薬のお世
話になる回数もかなり減るのに。。薬は肝臓に悪いからでき
る限り飲みたくない。野焼きをする⼈にも野焼きを容認して
いる⽇本という国にも怒りしか感じない。役所や消防署や警
察もあてにはならない。引っ越すこともできないし、⼀⽣頭
痛薬を毎⽇飲む⽣活を送るのかな?⽣きるのが、⾟い。本
当に⾟い。"
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3.法律は原則禁止です
廃棄物処理法(廃掃法)では農業の野焼きが認められていると誤解されていますが、法律の大前提は、廃棄物を適正に処理して生活環境を守ることです。
そのためにすべての国民は、国や市町村の廃棄物処理計画に従う責務があり、農業を営むものには雑草や作物残渣等の有効活用や適正処理の責務があります。
農水省『農業環境規範』の中でも有機物資源の有効活用が求められています。
そのうえで、どうしても燃やさなければならない状況においてのみ、罰則規定から除外されると考えるのが、本来あるべき法解釈です。
落葉焚きも同様の解釈ができます。
日常的に庭の落ち葉を燃やされ、健康被害が出てるのに、「落葉焚きは認められている」というのは法の目的に反します。
庭の落ち葉は一般廃棄物として適正に処理するか、堆肥などに活用する責務があります。
その上で、地域のイベント等の焼き芋大会などの落葉焚きが、例外として認められると考えるのがあるべき法解釈です。
- 昔からやっていた
- すき込むなんて面倒
- 燃やさなきゃやってられない
- 処理費用が勿体ない
などの身勝手な理由が「やむを得ない」と認められるのなら、誰だって燃やして処分したくなります。それでは法律が機能しているとはいえません。
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4.その他の法律
廃掃法以外にも、農業を営むために守らなければならない法律があります。
循環型社会形成推進基本法やバイオマス活用推進基本法では、雑草や作物残渣等の有機物資源を有効に活用しなければならない責務があります。
環境基本法や悪臭防止法では、事業者は公害を防止し環境保全に努める責務があります。
燻炭や肥料の灰づくりのための野焼きだからといって人に迷惑を与える行為は、法律に定められた環境保全の責務に反します。
農業において、燻炭や灰の利用は数ある農法の一部に過ぎません。
人の健康を害してまで行う価値のある農法などありません。
人に迷惑を与える場合は、法に従い他の農法を選択しなければなりません。
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5.温暖化防止対策
野焼きから排出される二酸化炭素、黒色炭素など、多くの物質が温暖化の原因になっています。
一方で、作物残さや雑草等の有機物は燃やさずに土壌に還元することで温室効果ガスの発生を抑えることができます。
農地土壌に、作物残さや雑草等の有機物を投入すると、それに含まれる炭素の一部はCO₂ に分解され、大気中に放出されますが、一部は分解されにくい腐植物質になり、土壌中に蓄積されていきます。
年間に0.4%ずつ腐植が土壌に蓄積されるだけで大気中のCO2を減らせることがわかり、世界中でも土壌の炭素貯留は注目されています。
野焼きをやめることは温暖化防止対策としても必要不可欠です。
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6.SDGs
SDGsは国連が定めたすべての⼈の⾏動⽬標です。
環境保全・温暖化防止・人の健康を守るために、廃棄物の適正処理と環境保全型農業の推進を誓い、日本国においても最重要課題に掲げられています。
<SDGsアクションプラン2020~日本の取り組み>
・健康・長寿の達成
・気候変動対策
・循環型社会の構築
・持続可能な農林水産業の推進
・大気保全
・化学物質規制対策
誰一人取り残さないことが最も重要です。
「昔からやっていた」などという安易な理由で、野焼きによる健康被害を許してはなりません!
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7.野焼きの現状
「野焼き反対!」と唱えると、必ず、
- 灰を肥料にする
- 燃やさないと害虫が増える
- 土壌殺菌
- 新しい芽吹き(意味不明)
といった反論が寄せられます。
しかし、野焼きのほとんどは、不要になった枯草や木の枝を集めて燃やして処分しているだけです。
やむを得ず行われている実態にありません。
不要になった枯れ草や木の枝は、法律・温暖化対策・SDGsにより適正に処理しなければなりません。
米や麦の収穫後の藁の野焼きについても、病害虫予防効果も雑草予防効果も肥料効果もないことがわかっており、すき込んだ方が豊かな土になり、病害虫に強く品質の良い作物ができることがわかっています。
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8.雑草と作物残さの適正処理
雑草と作物残さ(稲わら・もみ殻・剪定枝含む)は法律により適正処理しなければならず、温暖化対策やSDGsにおいても適正処理が求められています。
<適正処理の方法>
- 堆肥にする
- すき込む
- マルチにする
- 畑の片隅に捨て場をつくる
- 運搬処分する
-
その他(機械をつかう、その場に放置する等)
以上の1~6の方法を試みれば、ほとんどの雑草や作物残さは容易に処理できます。
燃やす人の言い訳は、必ずいずれかの方法で解決できます。
言訳1.稲わらをすき込むと藁が浮く、ガスが出る
⇒適切な時期にすき込む、微生物資材を使う
言訳2.放置するとミミズが出てイノシシに荒らされる
⇒堆肥にする、すき込む、運搬処分する
言訳3.燃やさないと雑草が増える
⇒堆肥にする、すき込む、厚くマルチにする、運搬処分する
言訳4.燃やさないと病害虫が増える
⇒堆肥にする、すき込む、運搬処分する
言訳5.面倒臭い、年寄りだから、昔からやっていた
⇒捨て場に放置、運搬処分(適正処理は法律の責務)
やむを得ず燃やす状況などほとんど考えられません。
強いて言うなら、病害虫が大発生して壊滅的な被害が出るような場合です。
(注:病害虫による不作で国民が飢えに苦しむような、本当にどうにもならない場合です。個人の農家の都合ではありません。あくまでも『公益上』であることが重要です。)
<公益上やむを得ず燃やす例>
「風の谷のナウシカ」のワンシーンより
だめだ こんな所まで菌糸が来ている
こっちもやられているぞ!
ああ ここも
(大ババ) 燃やすしかないよ
9.役所の対応
(画像:ネットで見つけた画像を保存したもの。引用元不明。心当たりのある方は連絡下さい。)
野焼きは健康被害の原因になり、法律で規制され、温暖化対策やSDGsでも野焼きの削減が必要です。
ほとんどの雑草や作物残さは堆肥化やすき込み、運搬などで容易に処理できます。
それなのに、なぜ野焼き被害が無くならないのでしょうか。
それは、指導するはずの役所が全く機能していないからです。
<全国から寄せられた役所、警察の対応>
- 「バケツを用意してあるので問題ありません」
- 「ビニールゴミは燃やしていないので問題ありません」
- 「消防の許可があるから問題ない」
- 「軽微かどうかの判断は地域性によります」
- 「農業者は許されている」
- 「個⼈差があるので、⼀市⺠の意⾒だけでは動けません」
- 「個⼈の問題だから裁判でもなんでもして解決して下さい」
- 「窓を閉めてマスクをしてください」
- 「世代交代するまで待つしかない」
- 「燃やす⼈の気持ちも考えなきゃね」
- 「野焼きは市の地域柄の文化だ」
- 「農家は焼いて良いんですよ」
- 「農家にも生活がある」
- 「野焼きごときで電話してくるな」
- 「野焼きぐらいで出動はしないから、今回も行かないから」
- 「畑で出た枝、草などは違法ではない」
- 「法律で違反していないから燃やしてもいい」
- 「野焼き禁止の条例がない為注意しか出来ない」
<名古屋市平和公園墓地の野焼きの市の対応>
-
野焼きは禁止されているが、法律違反だというと角がたつ。
平成10年に廃棄物野焼き禁止になったが、
例外として日常的なのはいいとされてきた。
そういう指導をしてきたので、条例も変えてないのに禁止ですよ
とはもっていかないで、説明して理解してもらう方法をとる。
農家だけを過剰に優遇したり、田舎だからといって野焼きが容認されるのは、憲法の法の下の平等に反し、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を阻害するものです。
役所や警察は、地方公務員法や各種法律に定められた責務により、
国の政策に従い、
環境保全と国民の安心を第一に、
作物残さや雑草の循環利用を推進し、
野焼きをやめさせるために、
全力で従事しなければなりません。
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10.政府に要望すること
県や市町村が誤った法解釈のもと適切な指導がされていないのなら、環境省及び農林水産省が国の責務として市町村及び都道府県に対し、原則禁止についての周知徹底及び技術的助言をすることが必要です。
野焼きと健康を考える会は以下の3項目について政府に要望します。
<要望内容>
- 稲わら焼きの禁止
- やむを得ないとは他に方法が無いもの
- 焚き火とはキャンプファイヤーなど
(要望の詳細)
- やむを得ないものの例示としての「稲わら焼き」を原則禁止と改める。
(理由)稲わら焼きはほとんどの自治体で「燃やさずにすき込みましょう」と言っている。燃やしても無機肥料になるだけで土づくりに効果が無く、すき込みや堆肥化して土に還元した方が生産性に効果的と科学的に証明されている。稲わら焼きを「やむを得ない」とする理由は存在しない。 - 「やむを得ないもの」とは「他に方法がないもの」として、
①病害虫の大発生などで農薬散布など他の方法よりも公益上有効な場合
②急傾斜等の理由により車両による廃棄物の搬出が困難かつ周囲に民家が無い場合
③伝統的焼畑農業
などに限定し、すき込み・堆肥化・粉砕処理・収集利用など焼却によらない処理方法がある場合はこれに含まれないものとする。
(理由)法の目的~廃棄物の適正処理と生活環境の保全~を鑑みれば、面倒くさい・経費が掛かる・昔からやっていた等の個人的理由による安易な野焼きは公益上やむを得ないとは認められない。 - 「たき火などの軽微なもの」とは煮炊きやキャンプファイヤー等の木くずの焼却であり、たき火と称して庭の雑草、剪定枝、落葉その他廃棄物は原則焼却してはならない。
(理由)法の目的~廃棄物の適正処理と生活環境の保全~を鑑みれば、単なる廃棄物処理としての雑草、剪定枝、落葉等の野焼きは規制するべきである。
野焼きと健康を考える会は、Change.orgというサイトで各省に対して署名活動をしています。
2021/5/24現在943人の署名が集まっています。
☟署名サイトはこちらです。
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