野焼きにまつわるQ&A


Q.農業の野焼きは認められているの?

 

A.全ての廃棄物は適正処理する責務が事業者に課せられています。

農作業で出る雑草や作物残さも例外ではありません。

法律では「公益上やむを得ない場合」は焼却禁止の例外となっておりますが、

「認められている」というのは誤りです。

 

やむを得ないとは「他にどうしようもなく仕方ない」という意味です。

適正処理が面倒、経費が掛かる、昔からやっていたという安易な理由は、

「やむを得ない」とは認められません!

 

(写真)

堆肥化、すき込み、運搬処理など

廃棄物は適正処理する責務があり、

他の方法が容易にとれる場合は

やむを得ないとは言えません!


Q.野焼きは害虫駆除・害獣除けの効果があるのでは?

 

A.ほとんどの野焼きは雑草や作物残さを集めて燃やすものです(例:上の写真)。

放置すると病害虫の原因になったり、ミミズを求めてモグラやイノシシの被害に遭う場合がありますが、堆肥化、すき込み、運搬処理など適正処理すれば病害虫や害獣の被害に遭う事はありません。

また、畦畔雑草の野焼き(芝焼き)についても、病害虫予防の効果は判然とせず、適切な草刈などで病害虫を予防することができます。

(参考:栃木県/「芝焼き」に代わる病害虫の防除方法について


Q.焼畑農業は先人の知恵だ!

 

A.焼畑農業とは森林を焼き、作物を数年育てた後に森林に戻す伝統農法です。

現在は宮崎県椎葉村で伝統的に行われ、世界農業遺産に登録されています。

苦情が出され問題となっている野焼きの大半は、廃棄物の適正処理の手間と経費を浮かせるためだけのもので、焼畑農業とは異なります。

また、灰を肥料として使用している実態はありません。

現代農業では、灰は肥料としての効果はほとんどなく、堆肥の施用の方が長期的に土が肥え、病害虫に強い作物ができると言われています。

(参考:千葉県ホームページ


Q.たき火は認められているの?

 

A.すべての廃棄物は適正処理する責務がすべての国民に課せられています。

庭の落葉や剪定枝も例外ではありません。

法律では「たき火などの軽微なもの」は焼却禁止の例外となっていますが、

あくまでも適正処理が大前提となります。

その上で、キャンプファイヤーや炊事などのたき火が適正処理の例外となります。

そして、軽微とは近所迷惑にならない程度のごく少量の焼却のことです。

庭の落葉を好き勝手に焼却処分し、他人に迷惑をかけていながら、

「たき火だから良いんです」

なんて身勝手が許される道理はありません!

 

(写真)

たき火と廃棄物の処分は

明確に区別できます!


Q.野焼きではダイオキシンがでないから問題ない?

 

A.アレルギー学会では稲わら焼却の煙に含まれるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド

が喘息や化学物質過敏症の原因になる事が報告されています。

また、煙に含まれる微粒子PM2.5は、長期的には脳梗塞や心筋梗塞の原因になり、短時間・基準値以下でも突然死の発生確率が高くなることが報告されています。

そしてなにより、独特の臭気と刺激で、気持ち悪い・頭痛がする・目が痛い・喉が痛いなど多くの人が苦しんでいます。

喘息患者は呼吸困難で救急搬送される場合もあります。

 


Q.近所で話し合ってはどうですか?

 

A.ほとんどの場合、

「昔からやっていた」

「郷に入っては郷に従え」

「燃やさないとやってられない(意味不明)」

「嫌なら出て行け!」

など身勝手な言い訳をし、全く耳を貸そうとしません。

ひどいところでは村八分や嫌がらせの対象になります。

行政が「野焼きは環境と健康を守るためにやってはいけない!」と周知徹底・指導することが必要です。

 


Q.燃やす時間帯や曜日を決めるとか?

 

A.朝は窓を開けて部屋の掃除をします。

昼間は洗濯物や布団を外に干しています。

夕方はペットの散歩をします。

夕食の準備で換気扇を使います。

換気扇は中の空気を出す代わりに吸気口から外の空気を吸い込みます。

夏の夜は涼しい外の空気を入れたいです。

冬の夜は暖房の酸欠防止のため定期的に換気が必要です。

野焼きに適した時間帯などありません!

そもそも、原則禁止である野焼きに対し、時間や曜日を決めて燃やさせること自体が間違っています

 


Q.法律では既得権が優先される。

昔からやっていたのに後から来たのが悪い。嫌なら出て行けば?

 

A.昔は稲わらなどは敷材として利用したり堆肥にしたり有効活用していました。

化学肥料の普及に伴い、再利用が面倒になり焼却処分する人が増えてきました。

既得権について、日本大百科全書の解説によると、

「絶対的なものではなく、旧法と新法、旧解釈と新解釈との間に価値観の変化がある場合には、既得権が廃止されることも多い。」

と書かれています。

現在、温暖化が社会問題になり、SDGsでは環境保全型農業が求められ国の最優先事項になっている状況では、適正処理が面倒などという安易な理由での既得権は認められません。

日本国憲法では、生存権が認められています。

身勝手な焼却処分により健康が犯されることはあってはならないことです。


Q.市町村役場に相談すれば?

 

A.残念ながら、役場の職員が正しい知識を持っているとは限りません。

日常的に庭の廃棄物を燃やされ近所迷惑になっているのに、

「たき火だから良いんです」

農業で出る廃棄物を適正処理せずに好き放題燃やされているのに、

「農業への理解が必要です」

など、法的知識も農業知識も中途半端に、環境や健康への配慮も無い発言を繰り返します。

何度抗議をしても、役場の人間の自尊心の高さから、こちらの意見に耳を貸そうとしません。

そのために当会が発足し、環境省へ野焼き原則禁止の周知徹底を求める活動を始めました。