文献の表示は、法律編集者懇話会作成『法律文献等の出典の表示方法』による。

https://law.doshisha.ac.jp/law/attach/page/LAW-PAGE-JA-117/109278/file/houritubunken2014a.pdf

 

 

医学

萱場広之「稲作地域における環境因⼦と気管⽀喘息―穀物粉塵と野焼きを中⼼に―」⽇本アレルギー学会(2004)

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/53/2-3/53_KJ00002640564/_article/-char/ja/

稲藁焼きで発生する刺激臭のある煙にはホルムアルデヒド,アセトアルデヒドの他,多くの揮発性物質が含まれており,周辺住宅地域での気道刺激を引き起こす可能性が示唆された。

要旨はこちら

 

京都大学ホームページ「大気汚染が新型コロナ感染症の発症、重症化をきたすメカニズムの一端を解明 - PM2.5が新型コロナウイルスの細胞侵入口を拡大する- 」https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-02-04(2021.2.4)

要旨はこちら

 

国立環境研究所ホームページ「北大など、「野焼き禁止」強化が呼吸器疾患の低減に直結することを実証」https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=33352(2022.03.01)

タイでは、野焼きゼロキャンペーンの実施により、呼吸器疾患受診者数が約 10 %低下した。

要旨はこちら

 

長谷川聡ほか「稲わら焼きと気管支喘息」新潟医学会雑誌第113巻第4号、186頁(1999)

https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/record/16094/files/113%284%29_182-187.pdf

(抜粋)気管支喘息は気道の過敏性と気道における慢性炎症が 関与しており、稲わら焼きの煙は、 焼却煙が非特異的に気道過敏性を刺激して喘息発作を誘発していると考えられる。 一度発作が生じると、 発作が消失しても気道の過敏性は残存し、この状態で再び1~2ヶ月間繰り返される稲わら焼きの煙に再暴露されると喘息発作を繰り返す。

 

道川武紘ほか「PM2.5の健康影響は特定成分に由来しているのか?~救急搬送を健康影響指標とした新規疫学知見~ 」Environmental Science & Technology(2022.5.24)

https://www.nies.go.jp/whatsnew/20220608/20220608.html

論文URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c08219

PM2.5の構成成分に着目して救急搬送件数との関連性を分析し、搬送日と前日の平均炭素濃度の上昇にともなって、救急搬送件数が増加することがわかった。

 

 

大気汚染・化学

高見昭憲「未規制燃焼由来粒子状物質 の動態解明と毒性評価」国立環境研究所研究プロジェクト報告 第 133 号(2018)

https://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/pdf/sr-133.pdf

野焼き実験にて得られた試料を利用して、細胞の酸化ストレス応答から、野焼きの毒性を評価したところ、野焼き由来粒子は酸化ストレス誘導能が高かった。

要旨はこちら

 

 富山一ほか「野焼き発生の時間分布調査および稲作残渣野焼きによる大気汚染物質排出量の日変動推計」大気環境学会誌 第52巻 第4号(2017)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/52/4/52_105/_pdf/-char/ja

つくば市において巡回と定点カメラによる観測によって野焼き件数の分布を調査し、降雨前に野焼き件数が増えること、強風により野焼き件数が減ることが定量的に確認された。

要旨はこちら

 

長谷川就一ほか「2011 年 11 月に関東で観測された PM2.5 高濃度の解析」大気環境学会誌 第49巻 第6号 (2014)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/49/6/49_242/_pdf/-char/ja

2011 年 11 月 2 ~ 6 日に関東地方で高濃度の PM2.5 が観測されたが、全般的にこの時期に盛んになる農作物残渣燃焼の影響が大きかったと推測される。

要旨はこちら

 

市川有二郎ほか「2013年11月4日に東日本として初めて注意喚起が実施された千葉県の PM2.5 高濃度エピソードの要因推定」大気環境学会誌 第50巻 第3号( 2015)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/50/3/50_152/_pdf/-char/ja

2013年11月4日に千葉県市原市内の大気測定局3カ所において高濃度のPM 2.5 が観測されたが、レボグルコサン、水溶性有機炭素、Char-EC の測定結果から、バイオマス燃焼(主に野焼き)も大きく影響していたことがわかった。

要旨はこちら

 

星純也ほか「レボグルコサンと放射性炭素同位体比を用いた東京都内の大気有機粒子に対する野焼きの寄与推定」大気環境学会誌 第55巻 第5号(2020)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/55/5/55_550506/_pdf/-char/ja

おおむね半径10 km以内には田畑の存在しない都心部においても、農業地帯方面からの風向が卓越した日にレボグルコサンの濃度が上昇し、有機炭素の起源として秋季から冬季にバイオマス燃焼の影響を強く受けていることが示された。

要旨はこちら

 

長谷川就一「野外焼却の実態と PM2.5 濃度への影響に関する考察」大気環境学会誌 第52巻 第1号 (2017)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/52/1/52_40/_pdf

(内容の一部)埼玉県環境科学国際センターにおいて、PM2.5 が顕著に高濃度となった4事例について成分分析結果を比較した結果、主要成分ではいずれも OC と NO3 -が高く、また、バイオマス燃焼や廃棄物焼却の影響が示唆された。

要旨はこちら

 

高橋司ほか「2016–2017 年に新潟市で観測された PM2.5 の有機マーカー成分を用いた発生源推定」大気環境学会誌 第55巻 第2号(2020)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/55/2/55_60/_pdf/-char/ja

新潟市でPM 2.5 の通年観測を実施し、特にバイオマス燃焼の由来について考察を行ったところ、秋‒冬季に中国東北部で行われたバイオマス燃焼(秋季は野焼き、晩秋‒冬季は家庭用暖房燃料燃焼)の影響を受けていると推測され、秋季は佐渡市で行われた稲わら燃焼の影響も受けていると推測された。

要旨はこちら

 

浦西克維ほか「中国東北部のバイオマス燃焼由来のPM 2.5 越境汚染に関する大気質モデル解析― 2019 年 3 月北海道における PM2.5 高濃度汚染事例―」大気環境学会誌 第55巻 第2号(2020)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/55/2/55_34/_pdf/-char/ja

(内容の一部)2019年3月初旬に発生した北海道地方の PM 2.5 高濃度汚染は、中国東北部の農耕地の BBの影響を日平均で最大 20 μg/m3 程度受けていると推計された。

要旨はこちら

 

上野広行「東京都における PM2.5 の観測と実態」安全工学 Vol.52 No.6『大気中物質の広域拡散とその影響特集号』、393頁(2013)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/52/6/52_388/_pdf/-char/ja

(内容の一部)バイオマス燃焼時に生成されるレボグルコサン濃度は野焼きのシーズンである秋季,冬季に高く,また各地点での濃度変動が同じパターンを示したことから広域的な影響が推察された 。

要旨はこちら

 

池盛文数ほか「濃尾平野の北部から南部へ向けたバイオマス燃焼由来粒子の移流による都市部の PM2.5 濃度上昇」エアロゾル研究 Vol. 37 No. 1(2022)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/37/1/37_370115/_pdf/-char/ja

濃尾平野北部から南部へとバイオマス燃焼起源の PM2.5 高濃度気塊が輸送され,都市部の PM2.5 の高濃度を引き起こしていた。

要旨はこちら

 

林田佐智子「北インド・パンジャーブ地方における稲藁焼きがもたらす環境への影響」日本リモートセンシング学会誌 Vol. 41 No. 5 (2021)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rssj/41/5/41_611/_pdf/-char/ja

(要旨)パンジャブ地方では二毛作が行われ、コメの収穫から小麦を蒔くまでの時間的余裕がないことと、従来手で稲刈りをしていた際と違い、機械で稲刈りを行うと長い株本が圃場に残るため、野焼きを行うようになった。コメが収穫される 10 月末から 11 月初旬にかけ野焼きが一斉に行われるが、北西の季節風に乗り、デリー地区での大気汚染が深刻である。

 

長谷川就一ほか「埼玉県における PM2.5 の実態」安全工学 Vol.52 No.6『大気中物質の広域拡散とその影響特集号』(2013)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/52/6/52_394/_pdf/-char/ja

(要旨)埼玉で2011年11月2~6日に県内測定局で日平均値35μg/m3を超える高濃度日が集中していた。この期間の気象状況は大気が滞留しやすかったことから、地域汚染が主な原因であり、またバイオマス燃焼の指標となる char-EC や K+ は、3~6日に高い傾向となっていたため、野焼きなどのバイオマス燃焼の寄与が大きかったと推測される。

 

池盛文数ほか「放射性炭素 14C を用いた名古屋都市大気における炭素性エアロゾルの季節変動と発生源解析」エアロゾル研究 Vol. 31 No.1、52頁(2016)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/31/1/31_47/_pdf/-char/ja

(内容の一部)名古屋におけるレボグルコサン濃度は晩秋~冬に高い。関東域では,レボグルコサンの発生源の一つとして,植物残渣の野焼きが挙げられている。名古屋についても,名古屋市内,もしくは近隣地域の植物残渣の野焼きが,発生源の一つとして挙げられるだろう。

 

熊谷貴美代「関東内陸部における大気中炭素性エアロゾルの特性および粒子状物質汚染に関する研究」エアロゾル研究Vol. 26 No. 4(2011)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/26/4/26_4_315/_pdf/-char/ja

(要旨)前橋市と赤城山での調査を行い、レボグルコサンは春から夏は少ないが、冬季は多くなる。気象条件を勘案すると、他地域から飛来したものではなく、地元における野焼きが大きな原因と思われる。水溶性炭素成分 WSOC の 1/4、有機エアロゾル POA の 20 %はバイオマス燃焼由来と推計できる。

 

小西智也ほか「都市大気環境中の PM2.5 及びサブミクロン粒子(PM1)の化学組成による発生源推定」分析化学 Vol.67 No.6  (2018)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/67/6/67_363/_pdf/-char/ja

(要旨)2016 年 4 ~ 12 月に新宿区早稲田において捕集・分析を行った。9 ~ 12 月に PM1 が上昇したが、char-EC が上昇し、soot-EC は一定だったため、PM1 の上昇は野焼きなどのバイオマス燃焼によるものと思われる。都心部においても郊外からの野焼き煙が流入してくることがわかった。

注)char-EC は低温での不完全燃焼成分であり、主に各種バイオマスの燃焼から生成する成分。soot-EC は高温における不完全燃焼時のガス-粒子化による超微小粒子として発生したものが粒子に凝集して生成し、主にディーゼルトラックに由来する成分。

 

岩本真二ほか「清浄地域における浮粉じん濃度に及ぼす稲わら焼きと火山の影響―福岡県における事例解析―」大気汚染学会誌第27巻 第3号、150〜151頁(1992)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki1978/27/3/27_3_142/_pdf/-char/ja

(内容の一部)田園地域の浮遊粉じんの発生原因は、稲わら焼きの影響と推察され、燃焼実験等から、その寄与率を推定すると、一番影響の強いときで約 50%となった。

 

北畠茂ほか「青森県内における稲わら焼却による大気汚染状況について」全国環境研会誌 Vol.44 No.2(2019)

https://tenbou.nies.go.jp/science/institute/region/journal/JELA_4402010_2019.pdf

(要旨)青森県津軽地域に設置している大気汚染常時監視測定局(五所川原第三中学校局)では,毎年10月期に稲わら焼却によるものと推察される浮遊粒子状物質濃度及び微小粒子状物質濃度の上昇が認められており,稲わら焼却時は,19時頃がピークとなっていた。10月期における浮遊粒子状物質濃度の月平均値は,2008年度までは横ばいで推移していたが,2009年度以降は稲わら焼却面積の割合の減少と相まって,低下傾向が見受けられた。また,アルデヒド類濃度及びベンゾ[a]ピレン濃度も,稲わら焼却が行われているときは明らかな上昇が認められ,浮遊粒子状物質濃度及び微小粒子状物質濃度とも良好な正の相関があった。

 

 河本晴雄「セルロースの熱分解反応と分子機構」木材学会誌 Vol. 61、No. 1、6頁(2015)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwrs/61/1/61_1/_pdf

(内容の一部)セルロースは熱分解反応により、ヒドロキシアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ベンゼン類を生成する 

 

佐藤圭「微粒子に付着した多環芳香族炭化水素と越境大気汚染」国立環境研究所ニュース28巻4号、8頁(2009)

https://www.nies.go.jp/kanko/news/28/28-4/28-4.pdf 

(内容の一部)多 環 芳 香 族 炭 化 水 素 ( Polycyclic AromaticHydrocarbon: PAH)は、二つ以上のベンゼン環を持つ化合物の総称。PAHは、主に有機物の不完全燃焼によって発生し、スス等の微粒子に付着して有機エアロゾル粒子として大気に排出される。PAHやその酸化で生成する派生物の多くは毒性を持 ち 、国 際 が ん 研 究 機 関(IARC)は、2009年現在、15種のPAHが発がん性を持つ可能性があると報告している。

 

能美隆ほか「火のニオイ」分析化学 Vol. 62, No.4、289頁(2013)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/62/4/62_285/_pdf

(内容の一部)セルロースは、熱分解により脱水縮合反応が順次進行し、リボグルコサンなどが生成されるが、これが焦げ臭の原因である。

 

野崎一伸ほか「大気中微小粒子(PM2.5)に含まれる多環芳香族炭化水素類濃度に関する研究」香川県環境保健研究センター所報 第6号(2007)

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010851190.pdf

(抄録原文)大気中に存在する浮遊粒子状物質のうち粒径2.5µm以下の粒子は肺沈着率が高いなどの理由より人体への有害性が高いと言われている。それら粒子中に含まれる発ガン性や変異原性の疑いがあるとされる多環芳香族炭化水素(以下PAHs)濃度を調査した結果,自動車からの影響が大きい幹線道路近傍ではPAHsの7~8割が,特定発生源の確認できない一般環境地域では冬季には約5割がPM2.5粒子中に存在することが確認できた。このように地点ごとにその組成比が異なることから,汚染源の推定ができる可能性があると考えられる。

 

 

法学

今井康介「農林漁業者による野焼きはいかなる場合に許容されるか ―刑事裁判例から考える廃棄物処理法施行令14条4号の適用範囲―」環境法政策学会誌 第26号(2023年6月)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kkhs/2023/26/2023_140/_pdf/-char/ja

いくつ かの刑事裁判例を手が かりとして 、施行令14条4号の適用範囲を探った結果、農林漁業者による許容される野焼きの限界は、生活環境に与える影響が軽微である(ことを前提に、焼却がやむを得ない)場合に限られるとの結論が導かれた。

要旨はこちら

 

今井康介 「廃棄物処理法施行令14条4号にいう『農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却』該当性」法律時報95巻13号(2023)

(要旨)いちご農家が、廃棄物であるいちごの葉等約46.1kgを焼却したとして、不法焼却罪(廃棄物処理法25条1項15号、16条の2違反) で起訴された。判決は、焼却せずに他の畑に運んでたい肥として使用することが可能であり、これはいちご農家にとって過重な負担になるとはいえないこと(農協もその旨の指導をしていた) から、本件におけるいちごの葉の焼却は、「農業を営むためにやむを得ないものとして行われるもの」とはいえないとした。施行令14条4号における「やむを得ない」焼却かを判断する際に、「すき込み」が考慮されるべき事を明示した点で、今後の実務にとって重要な判断を示した。 

 

今井康介「廃棄物処理法施行令14条2号、4号、5号該当性が否定された事例 ―宇都宮地栃木支判平成29年3月7日判例集未掲載(平成28年(わ)第40号)―」筑波法政学会『筑波法政90号』(2023

https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/record/2006526/files/TJLP_90-143.pdf

 (判決の一部)菌床シイタケ栽培業を営む被告人が、米袋数百枚を自宅敷地内の穴に入れ、焼却した事案について、宇都宮地裁栃木支部は、「被告人において、草や落ち葉等を本件米袋に詰めて本件清掃センターに搬入するという方法等による処分が可能であり、本件焼却までの間、同方法をとってきたことを考慮すれば、焼却の方法による処分を行うことが『やむを得ないもの』であったといえないことは明らかである。」として施行令14条4号該当性を否定した。

 

今井康介「廃棄物処理法における不法焼却禁止の例外事由該当性 ―東京高判令和2年8月20日高検速報(令和2年)211頁―」東北大学『東北ローレビューVol.10 』(2022)

http://www.law.tohoku.ac.jp/staging/wp-content/uploads/2022/03/vol10.05.pdf

(判決の一部)農家敷地内において発生した約 20.5 kgの竹と約 4.25 kgの柿の木の枝等を約 30 分間にわたって焼却した事案について、東京高裁は、「公共機関であるa市クリーンセンターへ持ち込む手段や、近隣の業者に高額ではない金額で受け入れてもらう手段もあり、農業を営み、竹の間伐も行い、重機も操れる被告人にとってこれらの手段をとることが困難ともいえないことから、(略)社会慣習上やむを得ないものとして受容される域内には収まらないと解される。」として施行令14条4号該当性を否定した。

 

今井康介「不法焼却禁⽌の例外を定める廃棄物処理法施⾏令14条5号該当性が否定された事案―東京⾼判令和4年3⽉9⽇⾼検速報(令和4年)3827号―」東北⼤学『東北ローレビューVol.11』(2023)

https://x.gd/NaeZt

(要旨)本事件は、廃棄物約 1.25kg について不法焼却罪の成立を認めた事件であり、少量の廃棄

物について不法焼却罪の成立した事案として参照価値がある。施行令 14 条 5 号における「軽微なもの」を、廃棄物処理法 16 条の 2第 3 号から、周辺地域の生活環境に与える影響が軽微なものと解している点も重要である。焼却量が少量であったり、焼却時間が短い場合であっても、煙や悪臭を発生させている場合、延焼の危険を発生させている場合、そして本件東京高裁が明らかにしたように、焼却物に有害物質が含まれている場合、軽微と評価することは出来ない。

 

丹羽 巌「法の解釈」中部大学『国際関係学部紀要』 34号 (2005.3)

https://elib.bliss.chubu.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=XC19101142&elmid=Body&fname=N04_034_077.pdf&loginflg=on&block_id=_520&once=true

(結論)現在の「法の解釈」は、法文を基礎として文理解釈をする。その「法の解釈」が社会的に妥当性を欠くというばあいは、その結果にこだわることなく、具体的妥当性を実現すべく、法の使命、法の理念、社会生活の現実、生活の要求など社会の理想の実現という目的を考慮して「法の解釈」をすべきである。

 

 

農学

須藤弘穀ほか(青森県産業技術センター農林総合研究所)「『わら焼き』が水稲収量及び地力に及ぼす影響」東北農業研究68、33〜34頁(2015)

https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/068/068-033.pdf

(要旨)稲わらを焼却した場合とすき込みを比較した場合、すき込みのほうが焼却よりも土の養分が増え、収穫が上がることがわかった。

 

秀島 好知ほか「米麦二毛作体系における麦わらの水田雑草抑制機構に関する研究」佐賀県農業試験研究センター研究報告41号、 1〜34頁(2021)

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010938448.pdf

(結論の一部)麦わらの処理方法の違いが水田雑草の発生と水稲生育に及ぼす影響を調査したところ、雑草発生の抑制効果は焼却に比べてすき込みした方が高かった。また、水稲の生育はすき込みで分げつが抑制されるものの、出穂後の登熟が向上し、増収する傾向がみられた。

 

稲垣 栄洋ほか「水田畦畔の植生管理の違いが斑点米カメムシおよび土着天敵の個体数に及ぼす影響」 日本緑化工学会誌38 巻1 号、240〜243頁(2012)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/38/1/38_240/_pdf/-char/ja

(要旨)斑点米カメムシを抑制し、天敵密度を高める上では、地際刈りや除草剤によって裸地化を図るよりも、高刈り等で植生を維持しながら管理していくことが有効である。

 

香川県農政水産部農業経営課『香川県総合防除計画』(2023)

https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/39989/sougouboujokeikaku_r5.pdf

(内容)作物ごとに病害虫の防除方法が書かれている。そのほとんどが、「圃場内の残さをすき込む」、「速やかに除去し、圃場外で適切に処分する」などの方法が示され、焼却処分については全く示されていない。

 

 

行政

第4次青森県循環型社会形成推進計画、35頁(2021)

https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/kankyo/files/4thjunkanplan.pdf

(内容の一部)稲わら等・りんご剪定枝は54万9千tの発生量のうち88.7%に当たる48万7千tが循環利用れ、うち、稲わらは、39万7千tの発生量のうち96.0%に当たる38万1千tが循環利用されています。

 

 宗像優「所沢市の産業廃棄物問題と環境行政―自治体環境行政の現状と課題―」、専修大学社会科学年報第39号(2005)

http://www.senshu-u.ac.jp/~off1009/PDF/0008.pdf

 

 

議会

船橋市議会会議録検索システム、平成21年第4回定例会-12月02日-05号(2023.6.21)

https://funabashi.gijiroku.com/voices2/

市の特産品である梨の剪定枝の焼却処分に関する議員の質問に対し、「この例外規定につきまして、環境省に確認をし、(中略)市の焼却施設や民間の施設で処理することが可能であることから、法の例外規定に該当させることは難しいものと考えております」と回答。

 

富⼭県⼩⽮部市議会会議録検索システム、令和2年⼩⽮部市議会定例会定例会ー12月11日-03号(2024.3.27)

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/oyabe/SpTop.html

あぜ草の焼却について県に確認しましたところ、あぜ草は廃棄物として位置づけられるため、どうしてもやむを得ない事情がある場合を除いては、野焼きの例外規定に該当しないという解釈を、全国的にとっているとの回答でございました。このことから、あぜ草につきましては、基本的には全国同一の基準により処理すべきものであると考えておりますので、本市におきましても、可燃ごみとして、適切に処理をしていただきたいと考えております。

 

 

その他資料

表1〜表7に、野焼きの禁止に関する資料をまとめてあります。

JPG画像なので、PDFで開く場合はこちらをごらんください。

http://noyakihigai.blog.jp/sekoureisheet.pdf