「稲わら焼却」を例外から削除することを求めます


多くの自治体の野焼き注意喚起のチラシやホームページに、野焼き禁止の例外として「稲わらの焼却」と書かれていますが、例外から削除することを求めます。

 

 

1.背景

 

当会には、秋になると稲わらの野焼きの煙や悪臭により、「喘息が辛い」「頭痛がする」「鼻炎が辛い」「吐き気がする」などの健康被害の声が多く寄せられています。

稲わらなどの自然物の燃焼であっても、PM2.5など多くの有害物質が発生し、健康を害することがすでに明らかになっています。

SDGsにより、廃棄物を適正処理し、大気汚染を防止し、人の健康を守り、誰ひとり取り残さないことが世界中の共通目標となっていますが、多くの人は役所に相談しても、「農業の野焼きは認められているので強制できない、注意しかできない」と言われ、被害が改善することなく長年苦しみ続けています。

 

 

2.適正処理の責務

 

農作業で排出される稲わらや雑草は、不要物として扱う場合には廃掃法(以下法と表記)では一般廃棄物に該当します。

農業などの事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を適正に処理する責務(法第三条第1項)と、国及び地方公共団体の廃棄物処理施策に協力する責務(法第三条第3項)があります。

そして市町村は、一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずる責務(法第四条第1項、第六条、第六条の二第1項)があります。

多くの地方公共団体では、ホームページや農業規範などで稲わらの適正な処理方法について告知しており、事業者はその方針に従わなければなりません。

したがって、稲わらを焼却処分すること並びに地方公共団体がそれを容認することは適正処理の責務に違反していることになります。

(画像:新潟県農林水産部)

 

 

 

3.焼却の禁止

 

厚生省(当時)通知「衛環78号」では、「農業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却としては、農業者が行う稲わら等の焼却などが考えられること。」と書かれていますが、これは2000年当時のものであり、20年以上たった現在では稲わらの処理方法の考え方は当時とは変わっています。

稲わら野焼きは土作りと害虫駆除に役立つと考えられていましたが、すき込みや堆肥化のほうが土作りの効果が高く、稲わらに潜む越冬害虫はすき込みにより減少することが明らかになっています。

多くの地方公共団体はすき込みによる処理方法を指導しており、現在では稲わら焼却は大幅に減少し、未だに焼却する理由の多くはすき込みに手間をかけたくないなどの自己都合によるものです。

施行令第十四条第四号では農業を営む上でやむを得ない焼却は禁止の例外になっていますが、その前提にあるものが法第十六条の二第三号における「公益上やむを得ない焼却」です。

公益上やむを得ないとは、害虫の大発生などで焼くより他に仕方ない場合などが該当しますが、すき込みに手間を掛けたくないなどの自己都合による野焼きは公益上やむを得ず行われるものではないため、稲わらの焼却であっても原則禁止です。

 

(画像:JAレーク伊吹

 

 

4.要望の詳細

 

焼却禁止の例外の稲わらの焼却は、やむを得ないことの例示に過ぎず、真にやむを得ないかどうかは個別具体的事情の下において、法目的に照らして判断することが必要です(環循適発第1709151号)。

ほとんどの稲わらの焼却は、すき込みに手間をかけたくないなどの自己都合によるものであり、公益上やむを得ず行われている実態にないことから違法となる可能性があります。

仮に例外であっても、環境省通知「 環循適発第 2111305 号」によれば、健康被害も含む人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じる場合等においては、処理基準に適合しない焼却行為として、措置命令等の行政処分及び行政指導を行うことは可能となっています(法第十九条の三、第十九条の四)。

その他の通知「環廃対発第080619001号」、「環廃対発第 1410081 号」では、市町村は生活環境保全のための極めて重い処理責任があることが書かれています。

そして、「環循規発第 2104141 号」では、産業廃棄物の適正処理について指導、監督を行うべき行政が何ら処分を行わないとすることは、法の趣旨に反し、廃棄物行政に対する国民の不信を招きかねないものであることから、速やかに行政処分するように求めていますが、一般廃棄物でも同様の解釈ができます。

これらの通知より、農業による稲わら焼却により生活環境に悪影響を与える行為について、市町村には極めて重い責任があることがわかります。

そのような立場にある市町村が、ホームページやチラシで焼却禁止の例外として「稲わらの焼却」と紹介することは、「稲わらを燃やして良い」と言っているに等しく、市町村の処理責任の義務を放棄していることになります。

稲わらの焼却が違法かどうかの最終的な判断は司法が個別にすることですが、処理基準に満たない稲わらの焼却処分により多くの人が煙害に苦しんでいることから、処理責任のある市町村に対し、ホームページやチラシから稲わらを燃やして良いと誤解を招く「稲わらの焼却」の記述を削除することを求めます。


 

その他の稲わら野焼きに関する資料

 

(注)資料の自治体ホームページは毎年更新されるため、リンクが切れている場合があります。その場合、お手数ですが自治体ホームページ内の検索機能で「野焼き」「稲わら」と入力し再検索してください。

 

「わら焼き」が水稲収量及び地力に及ぼす影響

(青森県産業技術センター農林総合研究所)

  • 精玄米重は焼きわら区は3年目から減収
  • ㎡当たり籾数は堆肥に比べ焼きわら区は12ポイント減少
  • 焼きわらは窒素及び炭素の供給量が極端に少ない(表3)

「焼きわらの施用では、地力の維持・増強を望むことができず、今後も連用を続けていくことで、土壌の全窒素量および全炭素量の減少から、収量低下が予想される。」

北海道

平成29年営農改善指導基本方針

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/2/4/5/2/4/9/5/_/29housin.pdf

 

稲わらの焼却は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」により禁止されており、環境汚染や健康被害、交通障害及び地域のイメージダウンの原因になるので絶対に行わない。

青森県

http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenmin/ch-nosui/w_no_-inawa-ra.pd-f.pdf

 

稲わらは貴重な有機資源です。

焼かずに有効利用しましょう。 

 

○稲わらの水田へのすき込みは、作土層を増やし、土壌を柔らかくし、土壌窒素を多くするなど堆肥とほぼ同じ効果があります。

○すき込み時期は秋が基本です。稲刈り後早く行うほど、分解する期間が長くなるため、腐熟が促進されます。

○稲わらの分解を進めるために、石灰窒素(20kg/10a)や腐熟促進剤を散布してからロータリーやプラウ等ですき込みます。

秋田県

https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/15882

 

稲わら・もみ殻の焼却をやめましょう

 

●稲わら焼き等の煙は目やノドを痛め、特に体の弱い方や病気の方に被害が及ぶこととなります。

●くん炭製造の為のもみ殻焼きも、周辺の生活環境や交通などに影響を与える場合は原則禁止されております。

山形県

https://www.pref.yamagata.jp/pickup/opinion/search/publicfolder201502021150403056/publicfolder201510/21090042.html

 

稲わらやもみ殻等の循環利用が可能なものは資源として適正に利用を進め、利用できない農作物の残さ等は廃棄物として市町村等の焼却施設等で処理するよう、農家にチラシ等を配布するなどして普及・啓発を行っています。

新潟県

https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/281244.pdf

 

貴重な有機質資源である稲わらや籾がらの焼却はやめ、環境にも人にも優しい「新潟米」づくりを実践しましょう。

岩船農業振興協議会(新潟)

 

〇もみ殻は、ケイ酸質資材として活用できます

 

もみ殻の約 2 割はケイ酸分であるため、単収 540kg のほ場のもみ殻を全て田んぼに戻すと、ケイカルを約 80~100kg 散布したのと同等の効果が期待できます。

 

もみ殻の散布は、トラクターにコンテナ式のもみ殻散布機を付けて散布(自然落下)すると1回の散布量が多く、手間も少ないため省力的です。

また、通常の軽4輪にもみ殻を積んでほ場内で散布することも可能ですが、1回の運搬量が専用の散布機に比べ少なくなるため、荷台にコンパネを立て、積載量を増やすなどの工夫をすると良いです。

千葉県

https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/network/field-h22/sui1009.html

 

稲わらのすき込み

 

10a当たりの稲わら生成量は約500kgありますが,燃やすと無機質になり土づくりの効果がほとんどありません。土壌への有機物補充のために稲わらは「上記事項に留意して」ほ場へすき込みましょう。

千葉県印西市

http://www.city.inzai.lg.jp/0000007179.html

 

稲わら・籾殻を土づくりに役立てましょう!せん定枝を適切に処分しましょう!

水稲の収穫後に、稲わらや籾殻を処理するために焼却される場合がありますが、土づくりに役立てるためにも焼却を行わずにすき込みましょう!

その他の有効活用法として、野菜の果樹の敷きわらとしての利用や、堆肥の原料への利用などがあげられます。

持続可能な農業を目指し、資源の有効活用に取り組みましょう!

群馬県

http://www.pref.gunma.jp/contents/000369878.pdf

 

麦わらは燃やさずに資源活用しましょう!

 

麦わらは燃やさずに、ほ場へのすきこみや

敷きわらとしての利用を進めましょう!

また、畜産農家と連携し、家畜飼料、家畜敷料、堆肥原料として活用しましょう!

(関連ページ)

麦わら煙公害に関する対策資料

 

[1] 水稲における麦わらの全面すき込み

[2] 大豆への麦わらの全面すき込み

[3] 小麦わらのアンモニア処理による牛への飼料化

[4] 小麦わらの家畜糞混合による発酵促進

[5] 施設キュウリでの小麦わら利用事例

[6] 梨園での小麦わら利用

[7] 桑園での麦わら敷き込み

 

[8] 麦わらを利用した太陽熱消毒法による土壌病害虫の防除

近江八幡市

http://www.city.omihachiman.shiga.jp/cmsfiles/contents/0000005/5292/sukikomichirashi.pdf

 

稲わら・籾殻を土に鋤き込む 

    ⇓

・土壌の排水性を改善

・土壌微生物の活性化

・二酸化炭素の貯留 

 

 

農業は地域の生活環境とともに営む産業です。

農家の皆様におかれましては「稲わら及び籾殻の鋤き込み効果」や「地域の住環境」に与える影響についてご理解いただき、焼却処理を避けてくださるようお願いします。

佐賀県

https://www.city.saga.lg.jp/site_files/file/usefiles/downloads/s1195_20140606040638.pdf

 

麦わらは有機物が豊富に含まれている有機質資源です。

麦わらをすき込むことによって、地力が向上し、生産力向上につながります。

燃やさず、地力向上・収量アップのためにすきこみましょう!

麦わらを燃やしても雑草は減りません!

香川県

http://kw-ja.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/08/250e5f9ca0100ec83a364ed582a10baf1.pdf

 

⻨わら・稲わら・もみ殻などの農作物に由来する有機物は、田畑の土づくりに有効な資源です。

田畑へすき込むことで、排⽔性・保⽔性・保肥⼒を高めることができます。

◈畜産の粗飼料や敷わら、堆肥としての利用

・繁殖牛や飼育牛の粗飼料・敷料、果樹・野菜の敷わら、又は堆肥の原料としても有効利用できます。

福岡県(JA全農)

https://bit.ly/2UswjuC

 

■わらすき込みの効果

① 稲・麦わらすき込みにより、腐植の低下を緩和し、地力維持できる。

② 土壌が軟らかくなるため、根の伸長を促し、耕うん作業が容易になる。

③ 土壌の養分保持力が高まり、肥料の削減が期待できる。

 

麦わらを焼却すると、水田雑草の発生本数が増加します!

 

≪水稲の生育≫

麦わらのすき込みで分げつが抑制される

が、出穂後の登熟向上により増収する傾向