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事業者の責務


野焼きは廃棄物処理法でやむを得ない場合(またはキャンプファイヤー等)を除き禁止されています。

農業を営むための「やむを得ない」野焼きとは何かというと、

  • 法の目的は「廃棄物の適正処理をもって生活環境を守ること」である
  • 廃棄物の適正処理と生活環境の保全に関し多くの通達が出ている
  • 稲わらや作物残さなどのバイオマス資源は堆肥などに循環利用する責務がある
  • 国も地方公共団体も「野焼きを止めましょう・有機物を有効活用しましょう」と啓発している
  • 農業において燃やさなければならない状況はほとんどない

などを考慮し、 

生活環境を保全するために稲わらなどのバイオマス資源は再利用に努め、

利用できないものは市町村の指定する方法で適正処理し、

燃やすより他に方法が無い時のみ罰則規定から除外される

と解釈するのが妥当です。

詳しくは【法解釈~「やむを得ない」とは?】に書きました。

 

すると、やむを得ない場合ならば何をしても許されるのでしょうか?

倫理的には人に迷惑をかけることは許されませんが、相手(公務員を含む)には倫理など期待できません。

法律に定められた事業者の責務から考察します。

 

煙害により被害者を悩ませている燻炭はもみ殻を原料に作られます。

この場合、もみ殻は廃棄物ではないので廃掃法は適用できません。

 

しかし、環境を守る法律は他にもあります。

 

環境基本法

第八条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2、3(略)

4 前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

 

悪臭防止法

(規制基準の遵守義務)

第七条 規制地域内に事業場を設置している者は、当該規制地域についての規制基準を遵守しなければならない。

(国民の責務)

第十四条 何人も、住居が集合している地域においては、飲食物の調理、愛がんする動物の飼養その他その日常生活における行為に伴い悪臭が発生し、周辺地域における住民の生活環境が損なわれることのないように努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する悪臭の防止による生活環境の保全に関する施策に協力しなければならない。

(悪臭が生ずる物の焼却の禁止)

第十五条 何人も、住居が集合している地域においては、みだりに、ゴム、皮革、合成樹脂、廃油その他の燃焼に伴つて悪臭が生ずる物を野外で多量に焼却してはならない

 

環境基本法および悪臭防止法において、事業者には生活環境を守る責務があります。

 

燻炭や肥料の灰づくりのための野焼きだからといって人に迷惑を与える行為は、法律に定められた環境保全の責務に反します。

 

農業において、燻炭や灰の利用は数ある農法の一部に過ぎません。

人の健康を害してまで行う価値のある農法などありません。

人に迷惑を与える場合は、法に従い他の農法を選択しなければなりません。

 

そして苦情を受けた市町村は、「灰を利用する」という言い訳に屈することなく、環境保全のために他の方法を指導し、野焼きをやめさせるために全力で従事しなければなりません。、

あわせて【公務員の責務】もご覧ください。

 

 

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コメント: 2
  • #1

    縦割り打破 (土曜日, 26 9月 2020 01:56)

    菅内閣によって省庁間の縦割りを打破が上げられていますが、残念な事に現在情報殺到につき受付けを停止しています。

    野焼きは環境省管轄の環境問題、厚労省管轄の健康問題、野焼き当事者関連の農水省や経産省多数の省庁に関連性が有り、更にその省庁内で細かく分類されています。

    これらの情報全てが垣根を超え纏められれば、環境問題で有るだけでなく、タバコの受動喫煙同様もしくはそれ以上の健康問題でも有る事を国が認識する事に成ります。

    国際的にも軽視されるべき問題ではないので早く情報の受付けを再開してもらいたいものです。

  • #2

    今年も (月曜日, 05 10月 2020 17:46)

    今年も稲刈りが終わり、暫くするとそこにはもみ殻の山が。
    役所も事前の注意はやりたがらないし、未だにもみ殻は許されてると古い通達に書いて有った例を盾にする。
    環境省の人曰く、通達に藁や籾殻と書いて有ったのはあくまで<当時>の例としで有り通達なので法的力は無い、それ自体何年も前の物なのでその時の状況で判断する必要が有る。と

    対処されない場合、籾殻焼き行使者が止めない場合、籾殻焼きが始まり、収まるまで換気もできず、一晩中眠れない様な状況に成る、何時そんな状況に成るか分からない恐怖が続き、実際に始まれば農家だからとその状況が当たり前の様に、なら死ねと言わんばかりにあしらわれる。

    なぜなにもしてないのに、悪い事でもして死刑執行を待ってる死刑囚の様な気分を味わわされないといけないのか。