SNSでよく目にする意見について考察しました。
「昔から農村でやってきたことに口出しすべきではない」
稲わらを例にすると、昔は稲わらは堆肥、敷き藁、家畜の飼料などに大切に利用していました。
しかし、昭和後期になると、堆肥は化学肥料、敷き藁はビニールマルチにとってかわり、飼料は輸入に頼るようになり、稲わらの利用価値がなくなり、手っ取り早く焼却処分するようになりました。
昭和40年代後半には、いわゆる「稲わらスモッグ」が発生し、列車が止まるなど交通機関に大きな影響を与えることがありました。
また、野焼きが多くなる時期は、喘息患者が増えるなど、健康被害も多くなりました。
そうした経緯から、野焼きを原則禁止とするようになりました。
つまり、野焼きの社会問題は、農村における比較的最近のことであり、野焼きの原則禁止は農村のための法整備だったのです。
都市部では昔から野焼きなど誰もやっていないのにわざわざ法改正が行われたのは、農村の野焼きをなくすためだったといってよいでしょう。
「野焼きができないとお米ができない」
米どころ秋田や新潟では、野焼きの社会問題にともない、いちはやく稲わらの野焼きが規制されるようになりましたが、今でも日本有数の米の産地となっています。
稲わらやもみ殻は、焼却すると栄養分がほとんど失われてしまいますが、田んぼにすき込むことで肥料となり、丈夫でおいしいお米ができることが近年の研究で明らかになっています。
「2,3日の野焼きなら我慢できる」
昔は社会問題になるほどの野焼きだったのだから、2,3日どころの被害ではありませんでした。
多くの農家が適正処理するようになり、野焼きが減ったために、2,3日で済んでいるものと思われます。
私の住む町内を観察してみますと、数十件の農家がいますが、いつも燃やすのはわずか数件、ほとんどの農家が適正に処理しています。
法を守らないわずか数件の農家のために、私たちが我慢を強いられる道理はありません。
<補足>
地方都市の野焼きが増えると、都心のPM2.5が上がります。
PM2.5がわずかに増えだけで、救急搬送が増え、死亡者数が増加します。
野焼きのPM上昇による日本の死者数は1万人に達するという研究もされています。
つまり、田舎の何気ない野焼きが、誰かの命を奪っているのです。
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市長 (土曜日, 19 10月 2024 07:40)
10月14日岡山県美作市の市長が野焼き今の時代何を考えているんだ?