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野焼きをすると救急搬送が増える


 

 

郊外で野焼きをすると、都心でもPM2.5が上昇します。

野焼きによるPM2.5の主な成分はレボグルコサンなどの有機炭素です。

 

星純也ほか「レボグルコサンと放射性炭素同位体比を用いた東京都内の大気有機粒子に対する野焼きの寄与推定」大気環境学会誌 第55巻 第5号(2020)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/55/5/55_550506/_pdf/-char/ja

おおむね半径10 km以内には田畑の存在しない都心部においても、農業地帯方面からの風向が卓越した日にレボグルコサンの濃度が上昇し、有機炭素の起源として秋季から冬季にバイオマス燃焼の影響を強く受けていることが示された。

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上野広行「東京都における PM2.5 の観測と実態」安全工学 Vol.52 No.6『大気中物質の広域拡散とその影響特集号』、393頁(2013)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/52/6/52_388/_pdf/-char/ja

バイオマス燃焼時に生成されるレボグルコサン濃度は野焼きのシーズンである秋季,冬季に高く,また各地点での濃度変動が同じパターンを示したことから広域的な影響が推察された 。

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都心のPM2.5が8.6μg/m3上昇すると、救急搬送件数が1.2%増加します。

とくに元素状炭素濃度0.8μg/m3上昇に対して0.8%救急搬送件数が増加します。

 

道川武紘ほか「PM2.5の健康影響は特定成分に由来しているのか?~救急搬送を健康影響指標とした新規疫学知見~ 」Environmental Science & Technology(2022.5.24)

https://www.nies.go.jp/whatsnew/20220608/20220608.html

論文URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c08219

PM2.5の構成成分に着目して救急搬送件数との関連性を分析し、搬送日と前日の平均炭素濃度の上昇にともなって、救急搬送件数が増加することがわかった。

 

 

 

つまり、郊外で野焼きすると、都心のPM2.5が上昇し、都心の救急搬送が増えるということです。

 

(国立環境研究所より引用)

 

「国際的に、また日本においてもPM2.5が健康に負の影響を及ぼしている可能性が報告されている状況の中で、PM2.5成分の健康影響について理解を深めていくことは、人の健康を保護するための効率的な大気環境づくりにつながる可能性があると考えています。」