東京都における PM2.5 の観測と実態
安全工学 Vol.52 No.6 (2013)大気中物質の広域拡散とその影響特集号
東京都環境公社 東京都環境科学研究所 上野広行
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/52/6/52_388/_pdf/-char/ja
【抄録(オリジナル)】
東京都における 2001 年度から 2012 年度までの PM2.5 の質量濃度モニタリング結果を
整理するとともに,2008 年度に行われた PM2.5 調査結果の概要をまとめた.
都内の PM2.5 濃度は広域的な濃度変動に支配されているが,地域的な汚染が上乗せされ
ている状況であった.PM2.5 の主要な成分は EC,OC,硝酸塩,硫酸塩であり季節によ
り組成が異なっていた.過去の調査と比較すると,自排局での低減が大きく,自動車排出
ガス対策の効果が大きかった.CMB 法やシミュレーションモデルにより推定した発生源
寄与からは,自動車の寄与は 10 %程度であり,様々な発生源に対するきめ細かい対策が
必要と考えられた.また,二次生成粒子に関する調査研究の充実,関東地方レベルでの広
域連携が今後の課題と考えられた.
【当会による解説(清水)】
都内 4 か所(足立区綾瀬、町田市中町、甲州街道国立、日光街道梅島)での PM2.5 の
測定で、バイオマス燃焼由来は 1.5 ~ 2.1 %だった。測定地点付近には畑地がほとんどな
いが、それでも遠方から野焼き由来と思われるバイオマス燃焼成分が検出された。しかも、4
地点すべてで同様な変動であったため、かなり遠方から飛来しているようだ。
他の研究と同様、野焼きのシーズンである秋季,冬季に高い結果だった。
【当会による解説(瀧)】
都内の大気中の PM2.5 に対する寄与は都内の発生源が 14.8%、都を除く関東 6 県が 34.4%であった(野焼き由来以外も含む)。PM2.5は広域に影響を与えることから、地方の田園地域(田舎)だからといって野焼きを容認することなく、関東地方レベルでの広域的な視点で野焼き削減に取り組む必要がある。
コメントをお書きください