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2016–2017年に新潟市で観測されたPM2.5の有機マーカー成分を用いた発生源推定


2016–2017 年に新潟市で観測された PM2.5 の有機マーカー成分を用いた発生源推定

大気環境学会誌 第55巻 第2号(2020)

アジア大気汚染研究センター、日本環境衛生センター 高橋司ほか

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/55/2/55_60/_pdf/-char/ja

 

【抄録(オリジナル)】

2016–2017 年に本州日本海側の最大都市である新潟市において、PM2.5 の発生源や各発

生源からの寄与割合を明らかにすることを目的として、イオン、無機元素、炭素成分のほ

か、レボグルコサンなどの有機マーカー成分の通年観測を実施した。その結果、レボグル

コサン、マンノサンの濃度は秋季に最も高くなった。バイオマス燃焼の影響について考察

したところ、秋季はレボグルコサン/マンノサン比と後方流跡線解析結果から、佐渡市で

の稲わら燃焼と中国東北部での open burning の影響、冬季は As などの石炭燃焼の指標物

質とレボグルコサンの濃度に相関関係が見られたことから、中国東北部で家庭用燃料とし

て使用された石炭やバイオマス燃料の燃焼の際に生じた PM2.5 の影響をそれぞれ受けて

いると推測された。これらの有機マーカー成分を用いて PMF モデルによる発生源解析を

行ったところ、有機マーカー成分を用いない場合よりも多い 11 因子が抽出され、PMF モ

デルに有機マーカー成分を用いることの有効性が示された。また、各発生源からの寄与濃

度を算出した結果、新潟市では 1 次生成粒子よりも 2 次生成粒子の影響が大きいことが示

唆された。

 

【当会による解説(清水)】

新潟県では野焼きは喘息などへの影響を考え、野焼きの自粛が進んでおり、畑作地の

0.1%でしか行われておらず、新潟市においては稲わらの全量がすきこまれていて、稲わ

ら焼却は行われていないが、0.1%の野焼きのうち、4 割が佐渡市に集中していて、秋季は

佐渡市での野焼きの煙が新潟市に流れてくるとの結果だった。また、冬季は中国東北部か

らの石炭燃焼や野焼きなどのバイオマス燃焼由来の PM2.5 も観測された。