野外焼却の実態と PM2.5 濃度への影響に関する考察
大気環境学会誌 第 52 巻 第 1 号 (2017)
埼玉県環境科学国際センター 長谷川就一
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/52/1/52_40/_pdf
【抄録(オリジナル)】
野外焼却の実態と PM2.5 濃度への影響を明らかにするため、本研究ではいくつかの解
析を行った。埼玉県内の自治体における野外焼却に関する苦情やパトロール結果の記録件
数を集計したところ、秋季に高くなる傾向がみられた。2011 年 10 月から 2014 年 9 月に
加須で短期基準(日平均値 35 μ g/m3)を超えた日数を月ごとに集計すると、秋季から冬
季にかけて多かった。このなかで PM2.5 が顕著に高濃度となった 4 事例について成分分
析結果を比較した結果、主要成分ではいずれも OC と NO3 -が高く、また、バイオマス
燃焼や廃棄物焼却の影響が示唆された。一方、PM2.5 高濃度と気象要素の関連性を調べた
結果、弱風や高湿度、大気安定といった気象条件が影響していることが示唆された。また、
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS) への投稿において“野焼き”というキ
ーワードの検索でヒットした件数が、休日や降水前日・当日に上昇するケースが多くみら
れ、その前後に PM2.5 も上昇しているケースがみられた。これは、農作業の状況、河川
敷や山などでの草焼きの実施と関連していると考えられた。こうした秋季・冬季に PM2.5
が高濃度になりうる条件についてスコア化し、短期基準超過日に適用して PM2.5 日平均
値と比較したところ、おおむね正比例する傾向がみられた。
【当会による解説(清水)】
SNS で「野焼き」のキーワードが増えるのは、関東では兼業農家が多く、休日に農作業
を行うことが多く、野焼きも休日に多い可能性があることや、どんど焼きや草焼きなどの
行事が休日に多いことも関係する可能性があると推測している。
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