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2011年11月に関東で観測されたPM2.5高濃度の解析


2011 年 11 月に関東で観測された PM2.5 高濃度の解析

大気環境学会誌 Vol. 49 No. 6 (2014)

埼玉県環境科学国際センター 長谷川就一

https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki/49/6/49_242/_pdf/-char/ja

 

【抄録(オリジナル)】

2011 年 11 月 2 ~ 6 日に関東地方で高濃度の PM2.5 が観測された。PM2.5 の全国的な状況

を見たところ、高濃度になっていたのは関東地方が中心であったことから、本事例は長距

離輸送や越境汚染によるものではなく、関東地方内の発生源の影響が大きかったと推測さ

れた。この期間は全般に弱風により大気が滞留し、3 ~ 4 日は接地逆転層形成による安定、5

~ 6 日は中立となっていたことが高濃度を招いたと考えられる。関東各地で観測した

PM2.5 の成分は、NO3 -と OC が顕著に高いのが特徴であった。NO3 -は特に 5 ~ 6 日

に高くなっていたが、これは夜間の高湿度の影響で NO から HNO3 への生成過程が顕著

に起こったことが要因であると考えられる。

また、3 ~ 4 日にも NO3 -は比較的高濃度になったが、NO の時空間的挙動から、農作物

残渣(バイオマス)の燃焼が影響していた可能性が考えられる。NO3 -と同様に OC も

高く、加えて K +や char-EC、レボグルコサンなど、バイオマス燃焼の寄与を示す成分も

高かったことから、全般的にこの時期に盛んになる農作物残渣燃焼の影響が大きかったと

推測される。ただし、SO42 -や V などの挙動から、南部を中心に化石燃料燃焼の影響も

一定程度あったと考えられる。また、PM2.5 質量濃度は水分の影響を抑える方法により測

定されているが、成分からの再構築濃度などによる検討から、この期間の高濃度時は水分

の影響が比較的大きかったと推測された。