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いちごの葉46キロ野焼き有罪


仙台高判令和3年9月14日(令和3年う第81号)

 

<事件の概要>

被告人は、いちご農家で、ビニールハウス12棟を所有し、約1万6000株のいちご苗を栽培している。

被告人は、苗から取り除いた廃棄物にあたる不要な葉を、畑にまいて肥料にするよう、農協から指導を受けていた。

しかし被告人は、大量の葉を畑まで運んでまくのは手間がかかり面倒であるから、焼却しようと考え、乾燥させたいちごの葉を焼却するようになった。

事件当日、被告人は段ボールを軽トラの荷台に敷き、その上に乾燥させたいちごの葉を載せて、焼却台まで運び、段ボールごと火をつけた。

そうしたところ、被告人は、法定の除外事由がないのに、廃棄物であるいちごの葉等約46.1kgを焼却したとして、不法焼却罪(廃棄物処理法25条1項15号、16条の2違反) で起訴された。

 

<判旨>

本件でいちごの葉を焼却したのは、人家や公共施設からそれほど離れていない場所であり、いちごの葉を焼却することによって生じる煙・灰などが周辺の環境に影響を与える可能性があること、焼却せずに他の畑に運んでたい肥として使用することが可能であり、これはいちご農家にとって過重な負担になるとはいえないこと(農協もその旨の指導をしていた) から、本件におけるいちごの葉の焼却は、「農業を営むためにやむを得ないものとして行われるもの」とはいえない。

 

 ※事件は、今井康介 「廃棄物処理法施行令14条4号にいう『農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却』該当性」法律時報95巻13号(2023)インターネット未公表から引用

 

<考察>

 

多くの野焼き事件は、伐採した木や竹など、農業生産と直接関係ない廃棄物の焼却でしたが、本事件は作物残渣の焼却について争われた事案です。

仙台高裁は、

  • 周辺の環境に影響を与える可能性があること
  • 他の畑に運んでたい肥として使用することが可能であり、これはいちご農家にとって過重な負担になるとはいえないこと

を理由に、やむを得ない焼却ではないと判決しました。

周辺に与える影響については、令和3年通知(環循適発第2111305号)において、「生活環境の保全上著しい支障を生ずる焼却は、これに含まれるものではない」として、周辺に悪影響がある焼却は例外と認めませんでした。

また、過去の判例の多くは、クリーンセンターに運搬するなど他の方法が採れる焼却は例外と認めず違法と判断されています。

今回の判決は、堆肥化やすき込みなどの方法が採れることを農協などから指導されていたことが、「他の方法が採れる」ことの判断材料になったものと思われます。

 

稲わらや籾殻なども、多くの自治体では燃やさずにすき込みましょうと通知されているので、通知を無視して焼却すれば違法となる可能性があります。