(写真:photoAC)
落葉焚きは違法かどうかですが、「落葉焚き」という言葉だけを持ち出して違法かどうかを判断することはできません。
法律の解釈は、文理解釈といって言葉の意味だけに囚われて解釈する方法があります。
焼却禁止の例外に「たき火などの軽微なもの」と書かれていますが、文字通りに受け取り日常的に隣の庭で焚き火をされたら、その煙と悪臭により通常の生活を送ることは困難です。
このように文理解釈だけでは社会における正義と公平の実現を図ることは難しく、これに法の趣旨を照らし合わせて解釈することが重要です。これを目的論的解釈といいます。
環境省は兵庫県警察への文書(平成29年9月15日)の中で、「稲わら等の焼却はやむを得ない焼却の例示であり、例外に該当するか否かについては、個別具体的事情の下において、法目的に照らして判断する。」と回答しています。このことからも目的論的解釈が重要であることがわかります。
たき火という言葉を様々な辞書で調べると
①草や木を燃やすこと
② 明かりや暖をとるためなどに薪を燃やすこと
の二通りの意味がありますが、法律の目的や趣旨に照らせば自ずとどちらの意味を採用すべきかわかると思います。
庭の落ち葉は一般廃棄物に該当するため、廃棄物処理法に沿って考察します。
第二条の四において、
「国民は、(略)廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。」
と、適正処理の責務が国民に定められています。
地方公共団体の施策のひとつが、一般廃棄物処理計画を作成しゴミの分別と収集についてのルール作りをすることです。
国民は庭の落ち葉をこのルールに従って処理する責務があるので、安易に庭の落ち葉を焼却処分することは第二条の四に違反しています。
焼却処分について、第十六条の二において、
「公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの」
以外の焼却は禁止されています。
政令で定めるものとは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第十四条において、
「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの」
と定められています。
前述したように、庭の落ち葉は地方公共団体のルールに従って処理することが必要であるため、その焼却処分は「通常行われる廃棄物の焼却」に該当せず施行令第十四条に違反しています。
また、庭の落ち葉の焼却は冒頭の写真を見ればわかるように、大量の煙と悪臭が発生し、近隣の生活環境に被害が生じることから「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微」とはいえず第十六条の二に違反しています。
法の趣旨に照らせば、ここでいうところの「通常行われる廃棄物の焼却」は、キャンプファイヤー、暖を取る、風呂焚き等の木くずの焼却、地域の焼き芋イベントの落葉焚きなどが該当するのではないでしょうか。
以上をまとめると
- 庭の落ち葉は地域のゴミ出しルールに従って処理する責務があること(第二条の四)
- 庭の落葉焚きは通常行われる廃棄物の焼却に該当しないこと(施行令第十四条)
- 庭の落葉焚きは近隣の生活環境に悪影響があること(第十六条の二)
- 法律の趣旨は廃棄物の適正処理による生活環境の保全であること
- 例外のたき火とは明かりや暖をとるためなどに薪を燃やすことが考えられること
を総合的に判断し、庭の落葉焚きは違反であるといえます。
その上で、焼却に至る動機や焼却量、再犯性などを考慮して口頭注意にするか、改善命令などの行政処分を下すのか、刑事告発するかの判断をする必要があります。
私は市から何度も
「庭の落葉焚きは違反ではないので注意しかできない」
「燃え跡が1m程度の少量だったので違反ではない」
と聞かされ何年も煙害に苦しみ続けています。
市の主張は文理解釈であり、生活環境を汚損させるような趣旨に反する文理解釈は絶対に許されるものではありません。
<参考>
(黒部市)家庭から出るごみや剪定枝などについては市町村等に引き渡して処理を行うことが一般的であり、これらの野焼きについては日常生活を営む上でやむを得ず行われるものには当たらないことから、原則禁止されています。
(瀬戸市)市民、事業者、神社、寺、自治会等の落ち葉、雑草の焼却は禁止されています。
(狛江市)(キャンプファイヤー等の例外について)落ち葉や庭木の剪定枝が混入している場合は、焼却することはできません
(幌延町)周辺住民から苦情が生じた場合は軽微な焼却とは認められません
民家の庭の木々を剪定して出た草木を焼却処分することは、農業には当たらないので違法である。その焼却した量目や、焼却に至った背景などあらゆる事情を考慮して事件として処理するのか、それとも指導警告とするのかなどの判断をすることになる。
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廃掃法の例外と言われてる物について (水曜日, 31 8月 2022 18:05)
廃掃法においての例外事項について
例外とされているものも措置命令等の対象に成ると言うのはご存じでしょうが、読み込めば法令自体がそもそもそうなっていると言うお話を。
法令の第十六条の二の三に書かれている政令で定めるもの
例外事項はここに掛かるものでこの条項は罰則に関してのもので条項の上に
(焼却禁止)と書かれておりその例外なので例外事項の前には
(焼却禁止の例外)と書かれていると言う事。
そして措置命令等は第十九条なのでこれはまた別の物
なので例外事項は関係ない
と言う環境省の方から聞いて目から鱗が落ちたお話。
つまりそこだけ見てしまうと例外として書かれているものは焼却禁止の例外
つまり焼いて良いのだとの勘違いをしてしまうが、実際は罰則について書かれている条項で例外とされているだけ。
ちゃんと読み込めば法令的にも措置命令等は例外無く健康や生活環境に支障が出ている場合は適用可能で有ると言う事。
各所に説明する時はこの旨お伝え頂くと伝わりやすいかと。