12/20記事『野焼きと消毒の因果関係(稲作編)』より
野焼きする人の言い分です(Twitterより引用、編集あり)
- 土に残せば ほとんど菌は生きている
- 数年に珠に酷い病害に襲われる
- 収入は50%とか30%とか普通に減る
- そんな年は菌密度を下げるため野焼きする
稲作の場合、田んぼを面焼きしても土中温度はほとんど上昇せず、稲わらの中で越冬する害虫はすき込まれると越冬できないので、野焼きと消毒の因果関係はありません。
今まで何年も消毒目的で野焼きをしてきたのなら、病害は発生しないはずですが、野焼きをしても病害は発生しています。病害は適切な土作り、草刈の徹底により風通しを良くするなどの工夫で予防することが大切です。
今回は、畑の消毒について考察します。
畑の野焼きの場合、稲わら野焼きのように一面をジリジリ焼いていくことはしません。
ほとんどが、作物残さや雑草を集めて焼却処分するものです。
焼却処分しているだけなので、土壌消毒の意味は全くありません。
これは廃掃法第3条の適正処理の責務の観点からすれば違法であり、堆肥にして再利用するか、埋没するか、処分場に運搬処分するなど、他の方法で処理することが必要です。
畑の場合、土壌消毒は薬剤か、太陽熱消毒という手法を用います。
太陽熱消毒とは、夏の暑い時期にビニールマルチで土壌を覆い、太陽の熱で病原菌や雑草の種を抑制する方法です。
(動画:JAとぴあ浜松 )
作物残さや雑草は、堆肥化やすき込みで土中に戻すのが原則です。
多少の病害虫は堆肥化の過程で死滅するので、すき込みで土壌が病害虫に汚染されることはほとんどありません。
しかし、希に強い病気に侵された株の病原菌が土中に残る場合もあります。
その場合は病原菌に侵された株を早期発見し、圃場の外に持ち出す事が必要です。
持ち出された株は廃棄物として適正に処理すれば土壌が病原菌に侵されることはありません。
- 病気のトマトは感染の元となるため、すぐに処分する。
- 病気のトマトは、農薬を散布しても治りません。発病したトマトを見つけたら、そのトマトを根ごと抜いて、袋に入れて密封して枯らすか、土中に埋めて処分してください。
サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策-農研機構生研支援センター
- 基腐病菌は、かんしょ残渣で越冬し、翌年の一次伝染源になるため、罹病残渣(特に腐敗塊根)を圃場外に持ち出し、埋没するなど適切に処分する。
農業指導指針の中で野焼きを指示することはほとんどありません。
私の知る限り、アスパラガスの指導指針では焼却処分が必要と書かれています。
アスパラガスは多年生なので、病原菌が株に残ってしまうと翌年も被害を受けてしまいます。
そのため、株元をバーナーで焼却します。
株元をバーナーで炙るだけなので、煙害はそれほど発生しないと思われます。
地上部の残さは刈り取って適正処分が必要なのは言うまでもありません(言ってるか)。
- 被害茎(残茎含む)を翌年の春どりに持ち越さない
- 残茎抜き取り、ほ場からの除去
- 冬季のうね面バーナー焼却
<野焼きと消毒まとめ>
- 稲わらの面焼きは地温が上がらないので消毒効果がない
- 稲わらすき込みにより藁が分解されると、病害虫は越冬できない
- 畑の土壌消毒は薬剤か太陽熱消毒で行う
- 病原菌の作物残さは速やかに圃場から持ち出し適正に処理する
- 農業指導指針で野焼きを指示することはほとんどない
- 病害虫対策は適切な土作りと環境づくりが大切
(注)これは農業指導指針などの情報をまとめたものであり、本当に野焼きが必要な状況か否かは現場に応じて個別に判断する必要があります。
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