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野焼きと消毒の因果関係(稲作編)


野焼きする人の言い分です(Twitterより引用、編集あり)

  • 土に残せば ほとんど菌は生きている
  • 数年に珠に酷い病害に襲われる
  • 収入は50%とか30%とか普通に減る
  • そんな年は菌密度を下げるため野焼きする

 

野焼きが消毒のために絶対に必要と思っているようです。

詳しく聞きたかったのですが、Twitterで絡むといろいろ面倒なのでスルーすることにしました。

今まで何年も消毒目的で野焼きをしてきたのなら、病害は発生しないはずですが、野焼きをしても病害は発生しています。

野焼きと消毒の因果関係がないのではないかと思ってしまいます。

 

ここでは、稲作の場合について考察します。

稲わらの野焼きの場合、田んぼ一面をジリジリ焼いていく方法が見られます。

(画像:photo-ac.com

 

佐賀県農業試験研究センターによると、麦わらを焼却しても地表温度はワラの多い所で100℃以上、少ない所で90℃、炎が通過後わずか7分で60℃以下になり、地表から3cmの所では全く温度変化はありませんでした。

  (画像は試験結果をイメージして筆者作成)

 

つまり、野焼きしても地中の病原菌は全く死なないということが証明されました。

この実験で、野焼き区とすき込み区で病害虫の発生に差はなく、すき込み区の方が雑草が少なくなりました。

ワラに含まれる成分がアレロパシー効果で雑草の発生を抑えるためと考えられます。

 

ここで疑問です。

稲わらに付着した病害虫をすき込むと土中で病原菌が繁殖しないのでしょうか。

 

稲の病気の代表が「いもち病」です。

いもち病の菌は、種子や被害ワラで越冬し、翌年の発生源となりますが、すき込みにより腐熟・分解した稲ワラでは、いもち病菌は越冬できません。

 

また、害虫の「ニカメイガ」 は稲ワラの中で越冬しますが、すき込んで稲わらを分解させてしまえば、地中で越冬することはできません。

 

このように、すき込みが病害虫や雑草を抑制する効果があることがわかっています。

(画像:JAレーク伊吹

 

米どころ秋田、新潟では稲わらの焼却はほとんど行われていませんが、毎年美味しいお米を生産されています。

 

いもち病は窒素過多の弱体化した稲に多発するといわれますが、適切な土作り、草刈の徹底により風通しを良くするなどの工夫で予防することが大切です。

(参考:いわてアグリベンチャーネット 

 

野焼きと消毒の因果関係は無いといえるでしょう。

(画像:リサール酵産株式会社