平成 25 年3月 29 日(環境省)
環廃産発第 1303299 号「行政処分の指針について(通知)」
(最新情報:環循規発第 18033028 号/平 成30年3月30日)
これは悪質な産業廃棄物処理業者に対して、行政指導をいたずらに繰り返す現状に対して、速やかに行政処分を下すように指示したものです。
しかし、廃掃法の本質は「適正な廃棄物処理により生活環境を守る」ことであるので、農業や家庭菜園であっても不適切な焼却処理により生活環境に支障が出ているならば、すべての条文や通知を駆使して生活環境の保全に尽力するのが行政の役割です。
以下、通知より野焼きと関係ありそうな箇所を抜粋
第1 総論
1 行政処分の迅速化について
- 違反行為を把握した場合には、生活環境の保全上の支障の発生又はその拡大を防止するため速やかに行政処分を行うこと
- 処分者等が命令に従わない場合には命令違反として積極的に告発を行うこと
2 行政指導について
- 行政指導を継続し、法的効果を有する行政処分を行わない結果、違反行為が継続し、生活環境の保全上の支障の拡大を招くといった事態は回避されなければならないところであり、緊急の場合及び必要な場合には躊躇することなく行政処分を行うなど、違反行為に対しては厳正に対処すること
4 事実認定について
- 違反行為の事実を行政庁として客観的に認定すれば足りるものであって、違反行為の認定に直接必要とされない行為者の主観的意思などの詳細な事実関係が不明であることを理由に行政処分を留保すべきでないこと
(補足:例えば行為者が「害虫駆除だ」と主張しても客観的に他の方法が容易にとれると判断できれば行政処分は可能である) - 再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であることから、当該物の再生は廃棄物の処理であり、法の適用があること
(補足:例えば、炭作りのための野焼きであっても、もみ殻や剪定枝そのものは廃棄物であり、法の適用ができる。)
第7 改善命令(法第 19 条の3)
(補足:ここでは産業廃棄物の記載ですが、生活環境の保全という趣旨に照らせば草木などの一般廃棄物にも当てはまると考えます。次の第8節も同様。)
1 趣旨
- 不適正な処理を把握した場合には、速やかに命令を行い、生活環境の保全上の支障の発生を未然に防止されたいこと
3 内容
- 改善命令は、(略)処理基準に適合しない産業廃棄物の(略)処分が行われた場合に、再び違法な(略)処分が行われないようにするため、基準に適合するように(略)処分の方法の変更その他の措置を講ずるように命ずるものであること
- 着手期限日までに何らの行為を行わない場合は、改善命令違反として差し支えないこと
- 命令違反に対しては捜査機関とも協議の上、直ちに告発を行う等厳正に対処すべきであり、命令が履行されないにもかかわらず、告発を行わないばかりか、催告等もせずに漫然と放置するようなことは決して許されるものでないこと
第8 措置命令(法第 19 条の5)
1 趣旨
- 不適正な処分を把握した場合には、速やかに命令を行い、生活環境の保全上の支障の発生を防止し、又は除去されたいこと
- 合理的な根拠がなく権限の行使を怠っている場合には、違法とされる余地があること。
2 要件
(1) 生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるとき
- 「生活環境の保全」には当然に人の健康の保護も含まれること
- 「おそれ」とは高度の蓋然性や切迫性までは要求されておらず、通常人をして支障の生ずるおそれがあると思わせるに相当な状態をもって足りること
(4) 改善命令との関係
- 処理基準等は、生活環境の保全上支障が生じないように、廃棄物の処理についてのあるべき基準を定めたものであり、これに適合しない処理が行われた場合には、具体的な状況のいかんによって、生活環境の保全上の支障を生じ、又は生ずるおそれがあるといえるものであること
- 改善命令は、この具体的な状況のいかんによって発生しかねない抽象的な危険を避けるため、処理基準等に適合するように処理の方法の変更その他の措置を講ずるように命ずるものであること
- これに対し、措置命令は、廃棄物の処理が基準に適合しないで行われた場合に、現に発生した支障を除去するための措置を講ずるように命じ、又は支障を生ずるおそれという具体的な危険を避けるため、支障の発生を防止するための措置を講ずるように命ずるものであること
第 12 刑事告発
1 一般的留意事項
- 刑事訴訟法第 239 条第2項において、官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない旨規定されている趣旨を踏まえ、違反行為については積極的に告発を行われたいこと
- 告発に当たっては、違反行為者の氏名又は名称、違反行為の日時(少なくとも何年何月ころ)、違反行為の対象となった廃棄物の種類及び数量、周辺の生活環境への影響、周辺住民からの苦情、違反行為の回数(少なくとも何年何月から何年何月にかけておよそ何回)、違反行為者への過去の指導状況などについて疎明資料をもってできる限り明らかにされたいこと
2 その他の留意事項
(1) 不法焼却、同未遂
- 廃棄物に点火している状況、廃棄物が燃焼している状況、燃焼している廃棄物に更に廃棄物を投入している状況などが写真やビデオテープに撮影されていることが望ましいこと
- 行為者が廃棄物を燃焼させるべく、焼却行為に着手した時点で、不法焼却の実行の着手があったものとして、不法焼却未遂罪に該当するものと考えられること
(3) 不法投棄及び不法焼却目的運搬罪
- 繰り返し不法焼却が行われている現場に焼却の用に供するための着火剤とともに廃棄物を搬入する行為等が考えられること
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