野焼きと健康を考える会は、5月~6月を【麦わら野焼き防止強化月間】として積極的に野焼きの防止を呼びかけています。
先日お知らせしたアンケートに頂いた声をもとに各市に
・作物残さ適正処理の周知を徹底し野焼きを未然に防ぐ
・苦情があれば法律違反であることを告げ直ちに止めさせる
などの内容の要望メールを送付しましたが、姫路市と鎌ケ谷と深谷市から回答を頂きました。
メールアドレス不明の市町村はホームページ送信フォームから送信しています。送信フォームに字数制限がある場合、簡易的な要望になります。要望には回答希望と記してありますが、必ず回答があるわけではありません。
<姫路市>
回答の概要(詳細はこちら)
- やむを得ないもの以外の禁止の周知はリサイクル課で行っている
- 農業の稲わら等の野焼きの苦情もリサイクル課で受け付けている
- 農業委員会において、「ひめじ農業委員会だより」に『野焼きについての注意喚起』の記事を掲載すべく準備を進めており、8月頃、配布を行う予定
<鎌ケ谷市>
回答の概要(詳細はこちら)
- やむを得ない場合でも「苦情・要請」が生じた場合には影響が軽微ではないと判断し、直ちに野焼き行為を行っている者に対し法律違反である旨を説明し指導を行っている
- 果樹剪定枝等リサイクル事業推進協議会を組織して、農家から排出される剪定枝を集約し家庭菜園等で利活用できる堆肥化や畜産業における糞尿吸着材として活用するリサイクル事業を行っており、野焼き行為が行われないよう努めている
- 苦情の受付はホームページや広報で周知している
<深谷市>
回答の概要(詳細はこちら)
- 野焼き注意喚起リーフレットには環第78号(平成12年9月28日)において示されている例外を列記したものを掲載している
- これらは例示にすぎず、当市においても案件ごとに個別に判断して対応している
<考察>
姫路市と鎌ケ谷市には引き続き野焼き被害ゼロに向けた取り組みを全力を挙げて取り組んで頂くようお願いしました。
問題は深谷市です。
「野焼き注意喚起リーフレットには環第78号(平成12年9月28日)において示されている例外を列記したものを掲載している」とのこと。
しかし深谷市のリーフレットには、
「農作物残さ、あぜ道を除草した刈草、一般家庭における木くずや木の葉」
が衛環第78号の記述とは別に書き加えられているように見えます。
衛環第78号について、何度も確認しましたが、
農業のやむを得ない焼却として「稲わら等」
林業のやむを得ない焼却として「伐採した枝条等」
軽微な焼却として「たき火、キャンプファイヤーの木くず等の焼却」
以外の記述は見られませんでした。
そのため、
- 農作物残さはすき込みや堆肥に利用し、できないものは適正処分することが原則であり、多くの自治体では農作物残さの焼却を原則禁止している
- 刈り取った草は廃棄物であり、原則焼却禁止である
- 一般家庭から出る木くずや木の葉も市の指定方法で処分することが原則であり、衛環78号に示された「たき火」とは、「煮炊きや暖を取るための木くずの焼却、子供会の焼き芋大会等」と解釈するのが妥当である
- あぜ道の刈草、作物残さ、落ち葉などは適正処理することが基本原則であるため、ホームページや注意喚起チラシに「あぜ道の刈草・作物残さ・落ち葉」の具体例を挙げることは不適切である
- 魚沼市などの記述を参考に、今一度例外の記述の見直しをお願いする
趣旨の要望を再度メールにて送付しました。
国民は環境を保全する責務(環境基本法第九条)と廃棄物を適正に処理する責務(廃掃法第二条)があり、例外だからといってみだりに燃やすことが認められている訳ではありません。
しかし、多くの自治体では焼却禁止の例外について、国からの通知以外に独自の具体例がホームページやチラシに書き加えられてしまっています。
あぜ道の刈草、作物残さ、落ち葉などは適正処理することが基本原則であるため、ホームページや注意喚起チラシに「あぜ道の刈草・作物残さ・落ち葉」の具体例を挙げることは不適切ではないでしょうか。
具体例を挙げたということは「燃やして良い」と認めているようなものであって、法目的に反します。
やみくもに具体例を挙げることはデメリットしかありません。
- それを読んだ人は、草や木は燃やして良いと認識します
- 実際に多くの人は、ホームページに書かれてあるからといって堂々と燃やしています
- 煙の被害者は、認められているから仕方ないと泣き寝入りします
- 行政や警察も「燃やして良い」と勘違いし、厳しい指導が行われません
- 繰り返す悪質な場合であっても、具体例に書かれているため罰則の適用ができません
- もし、被害者が刑事告発をすれば市のリーフレットを読んで燃やした人は送検されてしまいます
- 民亊訴訟になれば市のリーフレットを読んで燃やした人は賠償責任を負う可能性が高いです
一方で、具体例を最小限にとどめれば、
- 誰でも燃やすことは原則禁止と思います
- 被害者も行政に助けを求めやすくなります
- 行政や警察による厳しい指導が可能になります
- 悪質な場合は積極的に罰則を適用できます
環境課の仕事は大気汚染をなくし市民の健全な生活を守ることです。
地方公務員法によれば、職員は公共の利益(ここでは環境の保全)のために全力を挙げて専念し、注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならないと定められています(法第30条、第35条)。
環境省通知「環廃対発第 1410081 号」では、「市町村は最終処分が終了するまでの適正な処理を確保しなければならないという極めて重い責任を有する。」と書かれています。
魚沼市などの記述を参考に、全ての自治体に対して市民の健全な生活を守ることを最優先にした例外の記述の見直しを働きかけていきたいと思います。
【参考】魚沼市のホームページ
一部の例外とは
一部の例外とは、次の場合のものです。
- 災害でまともに処分ができず、焼却しなければ衛生的に問題がある場合。
- 「お焚きあげ」や「さいの神」など、ゴミの処分ではなく、「供養」や「息災祈願」を目的としており、宗教的、風俗的理由がある場合。
- 農業、林業をする上で、野焼きが絶対に必要な場合。それ以外は、農作業で出た枯れ枝や草木(公益性無し)でも燃やすと違反になります。
-
軽微なものとは、「煙や臭いがごく少量で、周囲の迷惑にならないもの」のことです。そのため、神社の掃除(公益性あり)などで出た枯れ枝や落葉を燃やした場合でも、苦情があれば中止、指導の対象になります。
※家庭ごみの焼却は、災害で処分できない場合を除き違反になります。
注意事項
- 野焼きに対して許可というものはありません。原則禁止です。
- 例外に該当するものであっても、周囲から煙や臭いに対する苦情があった場合、指導の対象となります。
- たき火の規模等、明確な基準はありません。常識的に考えて、苦情が発生しない程度と思ってください。
- 警察、消防に通報があった場合、捜査の対象となり罰金等が科せられる場合があります。
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