愛知県稲沢市の例

愛知県稲沢市ホームページより

 

ご意見・ご提言の要旨

剪定した木や葉を野焼きしています。産業廃棄物処理法違反と思われるので野焼きを止めるよう指導してほしい。

 

回答の要旨

 ご指摘の事業者は、自己所有の敷地内で剪定した木や葉を焼却しているため、屋外焼却禁止の例外規定に当てはまり、直ちに法律違反になるわけではありません。ただし、近隣住民の方などに煙などが迷惑を及ぼす場合は、屋外焼却はできないことになっていますので、現地を確認後、原因者へ野焼きの件について指導をしました。

　なお、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、事業者が業として剪定した木や葉につきましても産業廃棄物とはなりません。

 

「自己所有の敷地内で剪定した木や葉を焼却しているため、屋外焼却禁止の例外規定に当てはまり、直ちに法律違反になるわけではありません」との回答はいかがなものか。

 

剪定した木や葉は一般廃棄であり、市町村の指定する方法で適正処理しなくてはなりません。

その上で、公益上やむを得ない場合とキャンプファイヤーなどのたき火が罰則規定から除外されています。

例外に当てはまるか否かは、「適正処理による生活環境の保全」という法目的に照らして判断するものであるため、敷地内で剪定した木や葉をみだりに燃やす行為は法律違反となる可能性が高いです。

 

同じ愛知県春日井市ホームページでは、落ち葉、雑草の野焼きは一切禁止と書かれています。

 

（表：春日井市ホームページ）

 

富山県黒部市のホームページでは、「家庭から出るごみや剪定枝などについては市町村等に引き渡して処理を行うことが一般的であり、これらの野焼きについては日常生活を営む上でやむを得ず行われるものには当たらないことから、原則禁止されています。」と書かれています。

 

廃掃法は国の法律であって、法律に基づき行政指導や告発するのが市町村の役割です。

先に書きましたが、その判断は法目的に照らしてしなければなりません。

市町村が独自の判断でするべきではありません。

 

わかりやすく例えるなら、野球の審判のようなものでしょうか。

野球にはルールブック（廃掃法）があり、ストライクかボール、アウトかセーフを判断するのが審判（市町村）の役割です。

審判によってルールがコロコロ変わって良いはずがありません。

 

 

こんなこと書くべきではないのかもしれませんが、グレーゾーンのものならば、あえてグレーゾーンにしておいた方がマシです。

「剪定した木や葉が法律違反ではない」と書いてしまうと、燃やしても良いと誤解を与え、今後どんなに悪質な焼却行為が起きても罰則の適用が難しくなってしまいます。

 

理想的な表現としては、

 

前橋市

農業を営むための全ての焼却が該当するわけでなく、個別具体的な事情で「やむを得ないもの」と判断される場合のみ該当します

松江市

指導に従わない悪質なケースについては罰則の対象とすることがあります

 

と書くことで、どのようなケースであっても柔軟に対応できるようになります。

 

 

＜追記＞

稲沢市の最後の記述「廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、事業者が業として剪定した木や葉につきましても産業廃棄物とはなりません」とは温情のかけらもありませんね。

煙害被害者にとって一般廃棄物か産業廃棄物かなんてどうでもよくて、ただ市にきちんと取り締まってくださいとお願いしてるだけなのに。

言葉の揚げ足を取ることよりも、被害者の心に寄り添った書き方を勉強してください。