ホウレン草のハウス内周辺に稲わらを1m2 当たり4kg 敷き詰めると害虫コナダニの天敵トゲダニが増えて被害を軽減できるそうです。
1.背景およびねらい
広島県内のホウレンソウ産地でホウレンソウケナガコナダニ(以下,コナダニ)が発生し,品質・収量の低下が問題となっている。そのため,耕種的・生物的・物理的防除法等を取り入れた総合防除の確立は緊急な課題である。そこで,土壌消毒後にハウス内周辺部のコナダニのハウス内中央部への侵入を阻止し,コナダニの天敵を増やす有機物施用と化学農薬による防除を組み合わせて実証し,コナダニ被害を回避する総合防除法を開発する。
2.成果の内容
1)土着天敵を安定して発生させる有機物は稲わらである。稲わらをハウス周辺部に設置すると,土壌中のコナダニの土着天敵であるトゲダニ類密度が高まり(表1),コナダニ被害が軽減される(表2)。
2)コナダニに対し,防除効果が高い殺虫剤はフルフェノクスロン乳剤(カスケード乳剤○R )である(表3)。
3)土壌消毒後にハウス内周辺部へ稲わらを設置することで,トゲダニ類個体数は増加した。本葉2葉期のフルフェノクスロン乳剤の散布と組み合わせることで,コナダニ被害度が低く抑えられ,可販率が高くなる(表4)。
3.普及上の留意点
1)耕起作業などの時に稲わらをすき込むとコナダニの増殖を助長するので,稲わらはすきこまない。
2)ハウス周辺への稲わらの設置量の目安は1m2 当たり4kg である。
3)稲わらの分解が進んだら,新しい稲わらを補充する。
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