· 

改善命令・措置命令と罰則、(6/25追記)消火する権限


ずっとモヤモヤしていた次の一文について調べてみました。

 

福島市いわき市南相馬市

例外に当たる焼却であっても、生活環境保全上の支障が生じる場合は、改善命令等の対象となり、これに従わない場合は処罰の対象となります。

 

例外なのに処罰の対象になるのでしょうか?

もしこの一文が正しければ、私達が市からいつも言われている

「農業と焚き火は認められているから注意しかできない」

という言葉は嘘だったということになります。

 

まず、厚生省(当時)の通知を確認します。

 

衛環78号

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略)の一部を改正する法律の施行について(平成12年9月28日)

焼却禁止の規定は、(略)罰則の対象とすることに馴染まないものについて、例外を設けていること。したがって、焼却禁止の例外とされる廃棄物の焼却についても、処理基準を遵守しない焼却として改善命令措置命令等の行政処分及び行政指導を行うことは可能である。

 

つまり、農業の野焼きや焚き火であっても改善命令や措置命令ができるのは間違いありません。

 

改善命令とは

廃掃法第十九条の三(読みやすく編集しました)

 一般廃棄物処理基準に適合しない一般廃棄物の処分が行われた場合、市町村長は一般廃棄物の適正な処理の実施を確保するため、処分を行つた者に対し、期限を定めて、当該廃棄物の処分の方法の変更その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる

 

措置命令とは

廃掃法第十九条の四(読みやすく編集しました)

 一般廃棄物処理基準に適合しない一般廃棄物の処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、市町村長は、必要な限度において、処分を行つた者に対し、期限を定めて、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 

次に、罰則について調べました。

 

廃掃法第二十五条(読みやすく編集しました)

 次に該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

五 第十九条の四第一項(措置命令)の規定による命令に違反した者

 

廃掃法第二十六条(読みやすく編集しました)

 次に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

二 第十九条の三(改善命令)の規定による命令に違反した者

 

わかりやすく言い換えると、

「市町村長の措置命令に従わない場合は1000万以下、改善命令に従わない場合は300万以下の罰金を与える」

ということです。

 

よって、最初の一文

「例外に当たる焼却であっても、生活環境保全上の支障が生じる場合は、改善命令等の対象となり、これに従わない場合は処罰の対象となります。」

というのは正しかったことが証明されました。

 

そして、

「農業と焚き火は認められているから注意しかできない」

という言葉が嘘であることも証明されました。

 

<補足>

 

そもそも、廃棄物は全て適正処理することが原則で罰則の例外は

「公益上やむを得ない場合」

「キャンプファイヤーなどの軽微な場合」

に限られるので、農業でもすき込みなどの労力を怠り身勝手に燃やしたり、庭の枯草を燃やす行為は例外に当たらず、罰則の対象になります。

その上で、本当にやむを得ない場合やキャンプファイヤーであっても、行政指導の対象になり、従わなければ罰則の対象になる、ということです。

 

とりあえず今日はここまで。

追加情報があればまた更新します。

 

<6/25補足>

苦情があれば中止させることができるのか考察

 

市町村によっては

「苦情があっても注意しかできないから消火させる権限はない」

「苦情があれば中止させる」

と対応が分かれています。

どちらが正しいのか考察します。

 

前出の衛環78号により例外であっても措置命令が出せることがわかりました。

措置命令とは、野焼きを行つた者に対し、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずべきこと(消火させること、または他の処理方法をとること)を命ずることです。(廃掃法第十九条の四)

 

もし、行為者が野焼きをやめなかったらどうするのか。

 

(生活環境の保全上の支障の除去等の措置)

第十九条の七 第十九条の四第一項(措置命令)に規定する場合において、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、市町村長は、自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。

一 第十九条の四第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられた処分者等が、当該命令に係る期限までにその命令に係る措置を講じないとき、講じても十分でないとき、又は講ずる見込みがないとき。

 

簡単に言うと、

「生活環境に支障があり、支障の除去の措置命令に従わないときは、市町村長は自ら支障の除去を講ずることができる」

 

もっとかみ砕くと

「野焼きの苦情があれば、消火命令を出せるが、従わなければ市町村自ら消火することが出来る」

と解釈できます。

 

すなわち、

「苦情があれば中止させる」

のが正解となります。

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    まだ例外で良かった (水曜日, 30 6月 2021 19:38)

    馴染まないので例外でまだよかったですよ
    これが個人の野焼きに関して完全に切り離されてたら
    下手すると薪ストーブや薪風呂の様に個人の生活の一部とされて
    それら同様に取り締まりや規制する法律が無くなってしまう。

    近隣に幾ら迷惑が掛かろうと廃掃法では駄目なビニールやゴム製品などを焼こうとも薪ストーブや薪風呂の燃料なら許されてしまう。
    いや、本来は周辺への影響を考えれば駄目だが、やったとしてそれを取り締まる法律が無い。
    最近ではこれをゴミ焼き?いえ薪ストーブですよw
    なんて感じで法の穴として使ってる馬鹿まで居る。

  • #2

    無法 (木曜日, 01 7月 2021 03:17)

    薪ストーブ、薪風呂の煙は家庭内焼却、食事の調理等によって出る物と同等の扱いであり締まる法律が無い。
    つまりどういうことかと言うと

    フィルーターも何も付いてない簡易焼却炉で廃タイヤを焼く
    これは廃掃法の例外に例外として書いて有る、周囲への影響が顕著で焼いちゃ駄目な物の筆頭。

    所が極端な話、簡易焼却炉の周りを壁と屋根で囲い人一人住める程度のスペースさえあれば、これは家の暖を取る為のストーブですと言い張れば通ってしまう。
    廃タイヤであろうがダイオキシン発生する塩ビであろうが、家のストーブ燃料だと言ってしまえば取り締まる法律が無いので焼き放題に成ってしまう。

    正に無法地帯日本